第10話 臧覇と話合い

俺は臧覇に会っていた。

「陳宮、生きていたのか?」

臧覇は呂布と同盟関係のような間柄であり、陳宮も面識があった。

臧覇の印象としては呂布に付き従い最後を共にすると思われた陳宮が生きている事が不思議に思えたのだった。


「ああ、殿の最後の命令・・・殿の血筋を残す為に生き恥を晒している。」

「呂将軍の最後の命令か・・・

それは重いな。」

臧覇は死ぬに死ねなかった陳宮の気持ちを推し量る。


「臧覇、単刀直入に言う、曹操に味方して劉備討伐にチカラを貸してくれ。」

「お前は正気か?呂将軍を殺した曹操に味方しろと言うのか!」

「正気だ、殿の娘、呂希様を生かす為には曹操軍で手柄を立てるしかないのだ。」

俺は今までの経緯を臧覇に説明する。


「・・・陳宮、お主苦労しているのだな。」

「俺の苦労など、どうでもいい。

呂希様が曹操の手にかからない為にも周りを黙らす程の手柄が必要なのだ、臧覇お前のチカラがあれば劉備など敵ではない、どうかチカラを貸してほしい。」

俺は深々と頭を下げる。


「陳宮、頭を上げろ。

義を見てせざるは勇なきなり、かつて呂将軍に武の頂きを見たものとしてお前にチカラを貸してやる。」

「臧覇!ありがたい!」

俺は臧覇の手を取り喜びを伝える。


「そうと決まれば、味方は多い方がいいな、孫観・呉敦・昌豨・尹礼も仲間に加えるか。」

琅邪近くで独立勢力として活動している四人の名前を臧覇は告げる。


「味方になってくれると思うか?」

「大丈夫だろう、もう独立してやっていくのはキツくなってきたところだ、俺の口利きがあれば曹操相手でも降るはずだ。」

臧覇は自信があるようだった。


「味方は多い方がいい。説得出来るなら宜しく頼む。」

「任せておけ、陳宮は暫し休んでおけ。顔に疲れが出ているぞ。」

「だがな、俺が動かないと・・・」

「返事が来るまでは動けないのだ、それまでゆっくり休んでいろ。

大事な時に倒れられたら困るからな。」

俺は臧覇に無理矢理休まされる、その間に高順、張遼が率いる軍勢1万が合流した。

短期間の準備だったにも関わらず1万の軍を編成してきたことに俺は驚いていた。


「高順、張遼、よくこれ程の軍を纏めてくれた、ありがたい。」

俺は到着した二人を出迎えていた。

「陳宮こそ、臧覇が味方についたようだな。」

高順の言葉を聞いていた所に臧覇もやって来る


「それだけじゃない、昌豨達も味方になった、4千の兵が近日中に合流する。」

「おお!味方になってくれたか。」

俺は充分な戦力を得れた事に喜びを隠せなかった。


1万の本軍に加え、臧覇の2千、昌豨達の4千、合わせて1万6千の軍勢が指揮下に入ることになる。

これだけあれば曹操の本軍を待たずに劉備攻略ができる。


俺は意気揚々と出陣するのだった。

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