第225話 陳宮と美鈴

甄氏を側室として受け入れたある日、たまたま美鈴と二人で会う機会が訪れる。

「陳宮様、一つ質問があるのですがよろしいでしょうか?」

「質問ですか?答えれる事なら構いませんが?」

「陳宮様は日本人ですよね?」

「日本人?何の事でしょう?」

「隠さなくていいんです、歴史が大きく違うのは陳宮様の所からなんです、きっと、知識チートで歴史を変化させているんですね!私にはわかりますよ。」

「美鈴、私は日本人という言葉がよくわからないのだが、いったい何の話だ?

出身の話なら兗州の出だが?

そもそも日本人とは何処なんだ?」

「隠さないでください!貴方は日本人何でしょう!」

美鈴は必死の表情だが俺としては言っている意味がわからない、そもそも日本人とは何なんだ?


俺と美鈴の会話は平行線を辿るのだが、業を煮やした美鈴が俺に剣幕で近寄ってくる。

「陳宮さん、隠さないで!

私も日本人なんです、お願いですから!正直に話して!」

俺に詰め寄ろうとした時・・・


張遼が現れ美鈴の腕を捻り上げる。

「いたい!いたい!離して!離してください!」

「こいつは甄氏の侍女か、おい。何を狙って陳宮に触れようとした?」

「何も考えていません!お願い離して痛いの!」

「おい張遼それぐらいにしとけよ。」

「陳宮、甘いぞこの女がお前の暗殺をたくらんでいないと何故言える、侍女風情がお前に剣幕で詰め寄り触ろうとするなど怪しすぎる、何が狙いかじっくりと吐かせてやる。」


「美鈴!張遼様、美鈴が何かしたのでしょうか!」

美鈴が捕まっている所に美鈴を探していた甄氏が見つけて駆け寄ってくる。


「この女は陳宮に詰め寄り、襲いかかろうとしていた、その思惑を調べる為にこれから取調べをしなくてはならない。」

「そんな・・・」

甄氏は青い表情を見せる。

「違います。私にそんなつもりはありません!」

「張遼様、陳宮様に詰め寄り襲いかかろうとしたことを私からもお詫び申し上げます、しかし、美鈴は変な所はあれど他者を襲撃するような娘ではありません。

どうか広いお心で見逃してもらえませんか?」

甄氏は深く頭を下げ、美鈴を庇おうとしている。


「それを調べるのも私の仕事だ。」

だが張遼には響かない。


「まあ張遼落ち着け。

どう見ても、襲撃するような子では無いだろう。

話している意味はわからなかったが、何か聞きたい事があったようだ。

今回は見逃してもいいんじゃないか?」

「お前は何処まで甘い、何かあればどうするつもりだ?

それにトップのお前に侍女風情が詰め寄るなどそれだけでも許して良いわけではない。

そのまま首をはねても誰も何も言えまい。」

首をはねるという言葉に美鈴と甄氏はビクッとする。


「お願いします、どうかお許しください!もう致しませんから!」

美鈴は地面に頭を擦り付け謝罪を口にする。


「わかりました、ですが何も罰が無いというのも示しがつかないので・・・

張遼の側室になってもらいましょう。

それなら不審な動きをすれば張遼がわかるし、張遼の側室が俺に触れた所で罪を問う声は出ないだろ?」

最近俺の側室を増やしている張遼に俺の大変さもわからせるいい手に思えた。

「悪くは無い案だな、それなら俺が直接調べれるしな。」

「寛大なご処置をありがとうございます。

ほら美鈴も御礼を言いなさい。」

「えへへ・・・張遼将軍の妻に・・・」

美鈴は何故か嬉しそうに鼻血を垂らしながら倒れるのであった・・・

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