第250話 惨劇が・・・
「曹清無事だったのか!」
曹操のもとに合流すると曹清の姿を見つけた曹操と曹昂が駆け寄ってくる。
「お父様、お兄様!」
曹操と曹昂の姿を見た曹清も声を上げる。
俺は先に馬を降り、曹清を降ろそう手を差し出すと曹清は飛びつくように降りてくる。
「おっと、曹清様危ないですよ。」
俺は曹清を落ちないように抱きとめる。
「陳宮様が受け止めてくれると信じてました。」
「受け止めますが、危ない事はお止めください。」
「はい♪」
俺は曹清を地面に降ろす。
「お父様、お兄様!」
地面に降りたあと曹清は曹操の元に走っていく。
「無事でよかった。」
曹昂はギュッと抱きしめる。
「陳宮、よく曹清を助けてくれた。」
「いえ、曹清様を助けたのは曹嵩様にございます。
曹嵩様が自らを囮になされ、曹清様をお救いになられたのです。」
「そうか・・・親父・・・」
曹操の瞳から大粒の涙が流れる。
「・・・お祖父様は?」
周囲の空気から察したのか曹清が曹嵩が亡くなった事を感じ始める。
「曹清、今は考えなくていい、助かった事を喜ぶんだ。」
曹昂は曹清を強く抱きしめる。
「そんな!お祖父様は大丈夫だからって!」
「曹清、お祖父様は曹清を助けたんだ、その事に感謝しなさい。」
「お祖父様!!」
曹清は曹昂にしがみつき大声で泣く、その姿に周囲にいるものは心が痛むのであった。
曹清を連れ帰り、表面上は穏やかな日が続いていた。
「陳宮、食料援助を袁紹に頼みに行ってくれないか?」
「確かに袁紹の所には食料があるだろうが・・・
譲ってくれるか?」
「そこはお前に期待する。
交渉を成功させてくれ。」
「わかった、袁紹はお前と友人でもあるからな、可能性はあるな。」
この時代、袁紹と曹操は軽い同盟関係にあった、昔からの友人関係もある為に曹操からの頼みなら引き受けてくれる可能性はあった。
そして、俺が袁紹との交渉を纏め帰路につく時にそれは起こっていた。
「なんだと!陶謙に攻め込んだだと!」
「はい・・・」
「だが食料も足りてないし、黄巾党の奴等の統制もまだ取れてなかったはずだ。」
「・・・」
「何か隠している事があるな!言え!」
俺は伝令にきた兵士を問いただす。
「現在徐州では黄巾党の奴等による虐殺が行われております・・・」
「なんだと!」
「川を堰き止める程の住民死体が積み上がっているのをこの目で見ました。」
「住民をか!」
「はい・・・」
俺は目の前が暗くなる、曹操に手を貸したのは天下の為、中華に住む人々が苦しまなくてすむようにする為なのだ。
それが住民を虐殺だと・・・
俺は馬を走らせ曹操の元に向かうのであった。
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