第16話 陳宮倒れる

典満に殴られた俺は意識を失う。

「貴様は曹操様の命を無視するとは許すまじ事だ!俺がわからせてやる!」

意識を失っている陳宮に典満はさらに殴りつけていた。

「典満様、お止めください!!」

近衛兵は慌てるように典満を止めるが親譲りの剛力に近衛達ではなかなか引き剥がせない。


「何事だ!」

本陣の騒ぎを不審に思った成廉が駆けつけた来た。

「何を喧嘩をしている!戦の最中だぞ・・・陳宮!!貴様離れぬか!」

成廉は典満を蹴り飛ばし陳宮から引き離す。

そこにはボロボロになった陳宮の姿があった。

「おい!医者だ医者を探せ!」

成廉は慌てるがここは戦場医者などすぐに見つからない。

「そうだ、小沛の街が近いすぐに向かうぞ、おい、盾に陳宮を乗せて担いで行くぞ、絶対に揺らすな!静かにだ静かに早く運べ。」

成廉は陳宮の周りを自身の兵で固め、小沛に向っていく。


「高順、一大事だ!」

「成廉どうした?」

「陳宮がやられた!」

「なに?敵は撤退しただろ?」

高順には理解できない、敵は既にいない上に、陳宮には曹清から近衛がつけられていた、残党が奇襲をしたとて安易にやられるはずが無い。

「その近衛がやりやがった、今は俺の配下が周りを固めているが早く医者に見せてやりたい、小沛の街はどうなっている?」

「今、交渉中だ、すぐには難しいやもしれん。」

「陳宮は一刻も争う・・・やるか?」

成廉は小沛を力強く出落とす事を考える。

「待て、力強くで落とした城の医者に陳宮を見せる方が危ない、それよりは使者を出し医者を借りるぞ。」

高順は新たに使者を出し、医者を呼び出す事にする。


「これは酷いですな、打撲も酷いですが、お顔の骨が折れておられる、絶対に安静が必要と思われます。

これは痛み止めと熱冷ましの薬にございます。」

医者は診察をしたあと薬を出してくる。


「陳宮は無事か?」

張遼、臧覇も陳宮を心配して集まってきた。

「安静が必要との事だ。」

「酷い有様だ、やったやつは?」

「捕縛してある、あれでも郎中で曹操の覚えのめでたい奴だそうだ。」

「八つ裂きにしてやりたい所だが。」

張遼も怒りを覚えていた、呂布が亡き後、呂希を守る為に一人命を削り働いていた事を旧呂布軍の者達は皆が知っていた、だからこそ陳宮の指揮下に入り手柄を立てれる今回の事に喜んでいたのだ、だが手柄を立てた矢先、味方である典満から攻撃を受けたのだ、旧呂布軍の者達の中に曹操への恨みが出てくる。


「うっ・・・俺は・・・」

「陳宮!目覚めたか!!」

「高順、張遼、なぜここに・・・俺はどうなって・・・」

「喋るな陳宮!今は休め!」

「休んでなどおれん、小沛を下邳を落として手柄とせねば・・・うっ!」

俺は頭を動かそうとすると激痛が走る。

「何も考えるな、小沛はもうすぐ落ちる、下邳も大丈夫だ。」

「だが・・・」

陳宮は少し話してまた眠りにつく。


「これでは動かせんな。」

「高順、小沛はいつ落ちる?すぐに寝台のあるところで休ませるべきだろう。」

「明日には開城させる。」

高順は翌日直接乗り込み、開城させるのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る