第196話 夏侯充の婚姻
「夏侯淵、お前の姪の夏侯敬と夏侯充との婚姻を考えているのだがどうだ?」
曹操は夏侯淵を呼び出し、婚姻話をふっていた。
「夏侯敬か?無理だな。」
「無理?あの娘は年頃だったはずだ、それに男の影も無かったような・・・」
「既に陳宮のモノだ、ウチとの架け橋になってもらった。」
「なに!いつの間に?」
「先日だな、それに夏侯勝の遺言もあるからな、陳宮のところに送るのは以前から考えていたんだ。」
「う、うむ、名案だと思ったのだが・・・」
「さしあたり、俺と夏侯惇の家を近付けたかったか?」
「その通りだな、それに曹清の事を諦めさせるにも丁度いいと思ったのだがな。」
曹操は名案と思った事が駄目だった事に落胆していた。
曹操の話を聞き、夏侯淵は別の提案をする。
「それならば家臣の誰かの娘と婚姻すればいいじゃないか?」
「いい娘に心当たりがあるか?」
「そうだな・・・
程昱の娘、程育はどうだ、夏侯惇の一族と結びつけるには悪くないと思うのだが。」
「程育?知らんな、程昱に娘がいたのか?」
「まあ、噂になるような美女ではないからな、少し歳はいっているがその分程昱は可愛がっていると聞く、だからこそ、大事にすれば程昱との結びつきが強くなるとおもうぞ。」
「程昱との結びつきか、たしかに悪くない。」
程昱はかつて陳宮が裏切り、兗州を奪われそうになった際、荀彧と共に地盤を守りきった漢である、その漢の家と信用出来る夏侯惇の家の結びつきが強くなる事は素晴らしい事に思える。
「わかった、夏侯惇に打診してみよう。」
曹操は夏侯淵の進言を取り、夏侯惇に連絡を入れる。
「程昱の娘か、たしかに俺の家と結びついておけば曹家の地盤が固くなりそうだな。
わかった、程昱にはお前から伝えてくれ。」
夏侯惇の了承を得て程昱に打診する。
「なんと私の娘を嫁に貰ってくれるのですか。」
「そうだ、相手は夏侯惇の息子、夏侯充だ。」
「なんと、夏侯惇殿の長男ではないですか、しかもかなりの美丈夫だとか。
私の娘を選ぶとは到底思えませぬ。」
「大丈夫だ、夏侯惇も納得済みだ、それに私が仲人をするからな。」
「ありがとうございます、きっと娘も喜びます。」
「うむ、ならば問題は無さそうだな。」
「はい、夏侯惇殿にもよしなにお伝え下さい。」
「これはめでたいな。」
曹操は上手く纏まった事に喜んでいたのだった。
縁談が纏まった程昱はすぐさま祝いの品を夏侯惇に届ける。
「なんと程昱殿はこれ程喜んでくれているのか、夏侯充は幸せ者だな。」
夏侯惇は喜び、部屋にいた夏侯充を呼び、届いた祝いの品を見せる。
「父上、これは?」
「お前の婚姻の話を進めたら相手が喜んでな、すぐにこれほどの祝いの品を贈ってきたのだ。」
「なんと、これほどのまでの祝いの品を贈ってくれるとは・・・」
夏侯充が祝いの品を手に取るがどれもかなりの高級品ばかりであり、何気に手に取った剣も名刀と呼んで良いほどの物であった。
「相手が誰か知りたいだろ?」
夏侯惇は嬉しさもあって少しからかうように夏侯充に話をふる、だが夏侯充は曹清に心を寄せていた以上、必要以上に浮かれる気にはなれない。
「既に聞き及んでおります。」
「そうか耳が早いな。
まったく驚かし甲斐がない人やつだ。」
「将になるには情報の速さが大事と心得ております。」
夏侯惇の先回りが出来た事に少し喜ぶ。
「若造がいいよるわ。
・・・夏侯充これは大事な話だ、この縁談には曹家の地盤を固める意味が強い、妻を大事にするんだぞ。」
「はい。わかっております。」
「そうか、ならば多くは言わん、家庭をもって曹家の為に尽くすが良い。」
夏侯惇も曹清に想いを寄せている事は知っている、だがその想いを胸にしまい婚姻を受け入れた夏侯充を誇りに思い多くを語らずにいたのであった。
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