第92話 若者達
「そんな若者の意見など無視でいいだろ?
実際出来るとは思えない。」
「そうなのだが、無駄に勢いだけがあってな・・・
手柄と引き換えに曹丕の処分の撤回を求めて来ている。」
「・・・なあ、それって失敗したら曹丕様の処分を継続ということにならないか?」
「そこまで考えて無いのだろう、それに意見を受け付けないのは曹丕を処断するつもりだと騒いでもいてな・・・」
曹操は頭を痛そうにしている。
「それなら曹丕様の処分を止めるのは?」
「それは出来ん、ただでさえ謹慎などという軽い罪にしておるのにそれの減刑を家臣が求めるなど悪い前例を残してしまう。」
「ならば、両方突っぱねるだけだな。」
「うーん、しかし、折角の勢い何かに使えぬか?」
「疲労していない部隊を集めて一当てさせるか?
深入りしなければ小競り合いで済むだろう。」
袁紹軍も敗戦の後だ、大軍を動かすのは厳しいものがあるだろう、多少の手柄ぐらいは得れるのでは無いか?」
「それも悪くないがなぁ。」
ただ提案したものの、いい意見ではない。
今は無駄に戦をせずに力を蓄えればいいだけだ。
曹操もそれがわかるからこそ、悩んでいるのだろう。
だが、悩むということは何処かで若者達の意見を取り上げたいという曹操の気持ちが伝わってくるのだった。
俺と話してから数日間すると状況に変化が出る、若者達の意見を聞いた曹操の従弟の曹洪が若者達の意見を纏めて曹操に上申してくる。
「曹操、こいつらの希望を聞いてやれないか?軍の纏めは俺が引き受けてもいい。」
曹洪は若者達の粋を買ったのだ、たとえ少々失敗したとて経験として残るだろう、曹操と曹洪は話し合い、さして重要ではない場所への進軍を許す事になる。
総大将にこそ年上の曹洪がつくが、主だった武将には夏侯惇の甥、夏侯徳、夏侯尚
郭嘉の息子、郭奕
そして、典満、夏侯恩、夏侯楙達であった。
曹操は彼等に1万の兵を預けるのだが、彼等自身身銭を切って兵を集め、合計1万7千の兵を動員し、戦場に向かうのだった。
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