第51話 戦闘開始

「高順、陳宮は?」

「曹清様と見学だ。」

「くく、いつまで持つかな?」

家臣一堂、陳宮と曹清の仲を応援していた。


呂布陣営としては呂姫との婚姻を知ってはいるものの、その後の陳宮との仲を見ては眉をひそめる物があった。

苦労を重ねる陳宮には別で幸せを臨んでもいいのではないかと・・・


「さて、俺達は俺達の仕事をしますかね。」

張遼は青龍偃月刀を構える、かつて呂布と一騎討ちを繰り広げた関羽に敬意を持ち、張遼自身も使い始めた物である。

今日、その関羽とやり合うと思えば心躍る物がある。


「張遼、お前は何も考えなくていい、戦は俺がやる。関羽と心置きなくやれ。」

「おう!」

「張郃、お前も全力を張飛にぶつけて来い。」

「任せてくれ!」

張遼、張郃共に気力は充実している、この様子なら大丈夫だろう。


「いくぞ、陳宮軍のチカラを天下に轟かす時だ!」

「「「オオォォォ!!」」」

「突撃!」

高順の突撃の言葉に張遼を先頭にして突撃が敢行される。 


「どこだ!関羽!俺と勝負しろ!!」

先陣を切り、関羽を探すべく目の前の敵を斬り伏せて行く。

「私を探すとは身の程を知らぬのか?」

名を呼び、武を示した事で関羽が張遼の前にやって来る。

「関羽、呂布様と戦えたその武勇今一度見せて貰うぞ!」

「面白い、貴殿の武勇見せて貰おう・・・」

「「いざ!!」」

張遼と関羽二人の一騎討ちが始まる。


一方、その頃、張郃と張飛は既にやり合っていた。

「いくぞ!」

「生意気な!」

持ち前の剛力で張郃を弾き飛ばすものの、張郃は技量で受け流しつつ、荒い張飛のスキを狙い槍を繰り出す。

両者は何合も打ち合い、しかし、決着とはいかなかった。

「中々の漢だな、名は?」

「張郃、陳宮様に仕える刃だ。」

「張郃か、覚えておくぜ、だがお前ほどの漢が下についているとはな、陳宮はそれ程の漢か?」

「当然だ、私が輝ける場所を与えてくださったのだ、その恩に報いる為にも張飛!お前には此処で敗れて貰う。」

「そいつは出来ねぇ相談だな!この張飛の武の前に敵はいねぇ!!」

張郃と張飛の戦いは激しさを増していった。


「張遼、張郃も敵と組み合ったか、昌豨、劉辟突撃だ、劉備を蹴散らしてこい。」

高順は第二陣に構えていた二人に指示を出し、攻撃を開始する。


「やっと俺の出番がきたな、劉備など瞬殺だぁ!」

昌豨は勢いに任せて攻撃を開始する。

「昌豨に遅れをとる気にはなれんな、いくぞ手柄を上げよ。」

二軍に襲われ劉備は押され始める。

「おいおい、袁譚さんは援軍をくれないのか!」

劉備は開戦してから何度も援軍要請するものの、援軍が来る様子は無い、袁譚は客将である劉備を嫌っていたのだ。

劉備は軒先を貸したら母屋を乗っ取る様な不義の輩だ、そのくせ、民に取り入り人気が高い。

その人気により皇室の流れを組むなどの大嘘が信じられようとしていることも腹立だしい、此処で使い潰せるなら丁度いいと考えていた。


「おい、防げ!関羽、張飛!」

劉備が二人に視線を向けるものの二人は猛者に捕まり動きが取れない、このままだと劉備の所に敵が来るのは時間の問題だった。


「関羽!張飛!この戦、俺の戦ではない!

逃げちまうぜ!」

劉備は持ち堪えられないとみるや即座に戦場から逃げ出す。

「おい!兄者!くっ!張遼、勝負は後日だ、兄者先に逃げるな!」

関羽は戦場から逃げる劉備を追い張遼から離れていく。

「ふぅ、手強いな。

全員今一度息を整えよ、敵はまだまだいるぞ!」

張遼にとって戦に勝つことが重要である、関羽が逃げるなら丁度よかった。

軍を纏めて再度突撃に備えるのだった。


「くそ、兄者め、逃げることばかりしやがって!」

「張飛逃げるのか!」

「悪いな、俺の戦場は此処じゃないみたいだ、またやり合おうぜ。」

張飛は張郃を弾き飛ばし距離が出来た所で劉備を追いかけていった。

「逃がすか!」

張郃は張飛を追いかけようとするが、

「張郃止めとけ、俺達に必要な戦いは別にある。」

張遼が引き止めに来ていた。

「しかし!」

「そのチカラ取っておけ、まだ戦は続くのだからな。」

張遼は袁譚の大軍を槍で示す、そこにはまだ4万からなる大軍が無傷で待ち構えているのだった。

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