第3話 side 西宮 麗奈
まさに宝石の原石であった。
短く切られた銀髪、人の好さを感じさせるたれ目、アイドルのように整った顔立ち、モデルのようなスタイル。
彼女を構成する要素に私は強い興味を抱いていた。
様々な妄想が頭の中を駆け巡る中、気が付けば私は彼女に――
「――僕と付き合って下さい!!」
――何故か告白されていた。
***
(なるほど。彼女は天然王子様系の無自覚モテ女子ね。)
そう、私こと
無意味なリテイクが発生したのは別に良いとして、
今一度彼女の整った容姿を眺める。
(素材は完璧。私がノンケなら間違いなく堕ちていたわ。きっともの凄くモテてるんでしょうね。)
(けれど私は……)
「ごめんなさい、今のあなたとは付き合えないわ」
淡々とした私の言葉に青ざめる彼女。
「――だって私、ガチレズだもの」
一瞬喜色を帯びた彼女の表情はすぐに複雑な心境を映す。
「えーと、ここ女子校だよね?」
「そうね」
「僕もここの学生なので一応は分類的には女の子でして……」
彼女の言っていることは間違いない。但し、この状況に於いては違う。
「単純な生物学上の話ではないわ。私はもっと深い話、性癖学上の話をしているの」
「ほぅ……?? 性癖、学ですか……??」
「つまり私が重要視しているのはベッドの上での性別よ」
「???」
やはり、まだ彼女がこの域に足を踏み入れるのは早かったようだ。
けれど彼女は原石。簡単に手放してはガチレズとしての矜持に瑕がつく。
――導きましょう。私が彼女を。
「やがて分かる日が来るわ。だからまずは
「え、いいの!? この流れで!? こんな僕で良ければ! 是非、友達から!」
「私は西宮麗奈。あなたは?」
「僕の名前は東堂明里!よろしく!」
***
かくして、イケメン王子様系女子をメス堕ちさせるという私の野望が今、静かに幕を開けたのであった。
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