第2話 side 東堂 明里
まさに一目惚れだった。
艶やかに線を引く黒髪、怜悧な印象を与えるつり目、絵画のように整った顔立ち、神性すら感じさせる白い肌。
彼女を構成するすべてが僕の心を虜にした。
生まれて初めての強烈な情動に抗う術などなく、気が付けば僕は彼女に――
「HEY!キミ、僕とお茶しない??」
――普通にナンパしていた。
***
(かっ……、会話の導入で一番あかんやつぅぅぅーーー!!!)
そう、僕こと
物語でしか聞かないような軽薄な挨拶を初手にキメこみ、気になる彼女との初恋は出会って2秒ほどで終わりを迎えようとしていた。
「「…………」」
「……私は今、ナンパをされているという認識でいいのかしら?」
この非常に気まずい沈黙を破ってくれたのは彼女だった。
「えーと……、ゴメン。最初からやり直していい?」
「構わないわ」
まさかのTake2挑戦権をあっさりと手にした僕は深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
今度こそ間違えないように、
頭の中に浮かぶ言葉を慎重に選び、
ゆっくりと彼女の顔を見おろし、
丁寧に言葉を紡いだ。
「――僕と付き合って下さい!!」
これぞ禁断のやらかし2度漬けである。
全然緊張していたのである。
そんな惨めな僕を美しい双眸がじっくりと見定める。
彼女は少しだけ思案した後、
「ごめんなさい、今のあなたとは付き合えないわ」
淡々とそう告げた。
アディショナルタイムまでもつれ込んだ僕の初恋は無事終わりを迎えたのであった。
***
ところが、話は少しややこしくなるみたいでして。
「――だって私、ガチレズだもの」
初恋は延長戦という形で幕を開けた。
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