第266話 『B型? やっぱり!』 ←これ
本日は雨天という事で家庭科部は大人しく室内で活動する事に。
まぁ、それが本来あるべき姿なのだが。
仕方なく今日の家庭科部は西宮先生による星座占いをする事に。
尚、これは家庭科部のあるべき姿ではない。
感覚は麻痺しつつあるが、一応指摘だけはさせて頂いた。
「これで全員の誕生日も分かるし、一石二鳥ね」
「あの……もうちょっと家庭科部的な事を……」
今日は顧問の
「むむ……? 百合先生と相性がいいのは……」
「え、誰々!?」
だが、簡単に流されていた。
だいたい想像がつくと思うが、百合は毎朝出勤前に占いをチェックするタイプの女である。
出来る限りラッキーアイテムも携行するくらいには占いに影響されやすい。
「続きはこの後分かるわ」
「あ、これ何効果って言うんだっけー! うーんと、ドップラー効果?」
「ツァイガルニック効果」
「ごめん。全く聞いたこと無い効果で焦った」
南雲と美保のゆるゆるやりとりを横目に、西宮先生のゆるゆる占い教室が始まる。
***
まずは今年度初の誕生日を迎えた南雲から。
「そういえばあなたって血液型は何型なの?」
「C!!」
「お前だる」
「はあ? 先輩のジョークだよ? 北条さん、笑って?」
「はい。双子座のC型はメンヘラストーカーの気質があるらしいわ」
「す、凄い! 当たってますわっ!?」
「サクラか。お前は」
西宮はどこから持ってきたのか怪しげな水晶を座布団の上に乗せて手を翳している。
手元にもこれまた怪しい書物が置いてある。
西宮自身がミステリアスと言うかミステリーなので雰囲気自体は出ていた。
「じゃあ、じゃあ! ワタシは何型でしょう!?」
「お前だる」
「私の占いによると双子座のB型はメンヘラストーカーの気質があるらしいわ」
「ぶぶー! 残念! A型でした!!」
「ちなみに双子座のA型にもメンヘラストーカーの気質があるらしいわ。気をつけなさい」
「西宮。お前は全国の双子座に今すぐ謝れ」
お次は7月が誕生日の北条と8月が誕生日の百合。
どちらもしし座らしい。
「茉希の血液型は?」
「な、何型だと思う?」
「恥ずかしがるくらいならとっと言いなさい」
「ほら、美保。ツッコミどころですわよ」
南雲の真似をしてみた北条だったが、柄じゃなかったのか結構恥ずかしかった。
このように、血液型を聞くタイプはだいたい2種類。
『シンプルにだるい』タイプか、或いは……
「マキはA型っぽいよね」
「ワタシもそう思うー」
「私は意外にO型だと思うわ」
「び、B型……」
「ええ!? 茉希さんB型!? 全然そう見えない……」
『自分がB型と思われているかが気になっている』タイプだ。
これはB型の人でも、他の血液型でもよくあるタイプである。
B型の人にはなんの罪も無いのに様々な風評被害により、『あなたはB型ですか?』と聞かれるのは何らかのネガティブイメージを含む場合が多い。
O型も割とネガティブイメージを持たれがちだが、B型さんよりは幾分かマシだろう。
ちなみに、血液型の人口割合は、A型40%、B型20%、O型30%、AB型10%。
巷では何故かA型が『几帳面』とか抜かしており、多数派による情報工作が非常に目立つ。
(例題1)
『えー!! あなたってもしかしてA型??』
『えー!! あなたってもしかしてB型??』
(例題2)
『このノートの取り方は……もしかしてA型??』
『このノートの取り方は……もしかしてO型??』
これらはA型の人間が優れているという印象を抱かせる謎の引力が働いているので絶対に乗ってはならない。
……と、西宮先生が熱く語っておりましたので、苦情は西宮先生へお願いします。
「ふぅ……分かったかしら?」
「れ、麗奈の私怨が凄い……A型じゃなくて良かった……」
「これ多分西宮さんB型かO型だよね」
「まぁ、これでA型だったらサイコパスだろ」
「で? 百合先生、あなたは何型なの?」
「……え、A型」
「出たわ!! A型よ!! 捕えなさい!!」
「A型が親の仇なの? 百合先生大丈夫。今の所ワタシたち多数派だから」
「ありがとうございます……で、占いの結果は?」
「待ちなさい。こうなったら全員の血液型だけ最初にはっきりさせましょう。今後の付き合い方が変わってくるわ」
「お前の人生どんだけ血液型に左右されてんだよ」
「あわ……あわわわわわ……」
結果。
A型:南雲、百合、四方堂
B型:北条姉、北条妹
O型:西宮、一ノ瀬
AB型:東堂、十河
「うーん……なんか茉希ちゃん以外は想像通りというか……」
「みほっちはやっぱりBか」
「おいおい。こいつも世論に踊らされてんな。つか、姉貴の時と反応違うぞ」
「くっ……なんで東堂と一緒! 少数派ドッキリしたかったのに!!」
「僕も、『意外にもAB型だよ』ってやりたかったんだけどな」
「いやあなたたちはどう考えてもAB型よ(※.個人の感想です)」
A型を炙り出す西宮の陰で四方堂は真っ青な表情をしていた。
「お、お姉様……A型に生まれて申し訳ございません……」
「あー! 西宮さん杏樹ちゃん泣かせてるー。ほら杏樹ちゃん、A型の里に帰っておいで」
「ち、違うのよガブ。私はA型全員を駆逐するつもりではなくて……」
***
その後、西宮は杏樹が安心するまでA型の好きな所を100個探して聞かせた。
……歯を食いしばりながら。
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