第267話 牡牛座のO型が作った本
A型のいいとこRTAを終わらせた西宮は引き続き占いに入った。
「まずは茉希ね。獅子座のB型は……」
西宮は手元の本を読んで発言内容をまとめている。
ぶっちゃけた話、その本を北条に渡せばいいだけである。
「ふむふむ、
『一見、派手に見えるあなたは意外と消極的です。
さらに、その現状に満足しがちで多くを望むことを諦めています。
恋愛でもあなたからデートに誘ったり、何かを求めたりする事は少ないでしょう。
なので、あなたには行動力のあるパートナーがおすすめです。
相手から求められたり、甘えられたりする事に幸せを感じるでしょう』
らしいわよ」
「急にまともな占いし始めるのはやめろ」
「あ、当たってね? 姉貴全然デート誘ってくれないし……」
「そりゃ、みほっちはパートナーじゃないからね」
ちなみに南雲は高速で頷きながらスマホにメモを取っていた。
なんだかんだ言ってみんな占いが好きなのである。
「あと、相性の良い相手は……牡羊座のO型らしいわよ」
「牡羊座……お前じゃねぇか!!」
「あら? ぐうぜ――」
「はい次いこー。このコーナー多分当てになんないから」
お次は百合聡美。
「ふむ……覚悟して聞きなさい。
『温和な雰囲気とはうらはらに、まじめで正義感が強いあなた。
自分にも厳しいあなたは、相手にも多くの事を望みます。
結果的に、多くのハードルを用意したあなたの前に辿り着いてくれる相手はそう多くはないでしょう。
そんな王子様を待つあなたは、よく言えば夢見る少女、はっきり言うならこじらせ女です。
時にはハードルを下げて、思い切って付き合ってみるのもいいかもしれません。』」
「こ、こじらせ女……」
「私たちにも厳しすぎるのよ。これに懲りたらもっと甘やかす事ね」
「まぁ、甘やかした結果が去年の事件の数々なんだけどな」
「ちなみにラッキーパーソンはおひつじ……」
「はい次ー」
お次は9月6日生まれのO型、一ノ瀬紗弓。
「乙女座です」
「乙w女w座www」
「何故笑うんだい? ボクはとても真剣だよ?」
「『乙女座らしく繊細で少女趣味のあなた。
内向的なあなたは中々思いを口に出せません(以下略)』」
「たまに占い本って、こういう思いきり外れたものもありますわよね」
「当たってるかもしれないじゃん!」
「いーやwww ないだろwww 繊細とか言ってwww」
「なにわろてんねん」
腹を抱えて笑っていた美保だけぶん殴られていた。
ちなみに今回は相性の良い相手コーナーは割愛されていたが、西宮が不正なしで確認したところ……
……
お次が色々な意味で混み合っているのだが。
「はいっ! はいっ! 天秤座のAB型です!」
「えーっと、、、天秤座のAB型です……」
「まさかの被りだな。東堂って誕生日10月10日だっけ?」
「はぁ!? ちょっとこの人、誕生日まで被せてくるんですけど!?」
「いや、年齢的に被せたのはお前な」
血液型と星座どころか誕生日まで一緒だった。
名前も一緒という事で何かと共通点が多い。
そんなあかりちゃんたちの結果は、
「『何でもそつなくこなすあなたは、世間で天才と言われることも多いでしょう。
人付き合いは苦手ではありませんが、本当の理解者には中々巡り合えません。
恋愛でも一見他者からは理解出来ない様な直感的な恋、
所謂一目惚れをする方も多い傾向です。』」
「「あぁ……」」 (←南雲&西宮)
どうやら2名ほど心当たりがあったらしい。
「『そんなあなたにおすすめのパートナーは、とりわけ頭の悪い女がおススメです。
天才であるあなたが理解出来ない相手に、あなたの興味が尽きる事はありません』」
「すげー。じゃあ南雲は天秤座のAB型キラーってこと?」
「ありがとー! でも、あーちゃんキラーは嬉しいのに、余計な奴が居るせいで喜べない……!!」
「一応言っておきますけど。あなた、この女に馬鹿にされてますわよ」
東堂と相性がいい=十河と相性がいい=理解出来ないくらい頭が悪い
という事になっていた。
……しかしこれは、あくまでも占いの結果を信じるのであればの話。
全員占いに夢中になっているが人の性格は48種類ではない。
そもそも東堂と十河の性格が一緒ではない時点で破綻はしているはずだった。
まぁそんな無粋な話は置いておこう。
「相性のいい相手は双子座のB型ですよね!?」
「あら……? 牡羊座のO型ね」
「よしっ!!」
「……いやいや。牡羊座のO型はカリスマ性溢れすぎだろ」
「たぶんその本、牡羊座のO型が作ってるよ」
こちらのコーナーは西宮の私情が大きく関与しています。
牡羊座のO型への誹謗中傷はご遠慮下さい。
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