第90話 健全なクイズです
巧みな誘導や話の脈絡など一切気にしないパワータイプの忍者である五味渕により急遽開催となった『第一回 お嬢様わかり手クイズ』。
西宮の指示により第一問目から問題変更が行われた。
「それでは仕切り直して第一問」
「頼むわよ。あなたが奇行に走る時は碌な事が起こった試しが無いわ」
「任せて下さい。それではお嬢様の好きな食べ物についての問題です」
「急にまともな感じになったわね……」
問1.次の4つの内、お嬢様が好きな野菜はどれでしょう?
①きゅうり
②ナス
③ゴーヤ
④大根
「……わりぃ、好きな野菜ってまさか……。その……形状が……」
「ご丁寧に太さ順で並んでるけど……ちがうよね、西宮さん?」
「違うわよ! 風評被害よ! ゴミ渕!」
「もちろん他意はございません。お嬢様のお気に入りの野菜をお選び下さい」
「その言い方やめなさい!!」
「??? 他意? 形状? みんなは一体何を……?」
心が汚れた3人は何か他意を感じ取ったが、純粋な人間はどんな料理が好きだったかをちゃんと考察していた。
「さ、流石にな。過剰反応だよな。でも、ゴーヤはエグいって……②のナスで」
「ワタシは健全……ワタシは健全……①のきゅうりで」
「僕は④の大根で。みんな意見割れたみたいだね」
フリップに書かれた解答が出そろった所で五味渕が正解のフリップを構える。
西宮の好きな食べ物が分かるという事で東堂だけが純粋な気持ちで楽しんでいた。
「正解はー……④の大根です」
「「大根!?!?」」
「違うわよ!!」
「え? 好きじゃないの?」
「いや……好きだけれど……その、ええ。次に行きましょう」
東堂の眼差しが居たたまれないので本当は次の問題など行きたくなかったが五味渕に2問目を促す。
次のフリップには何やらギッシリと選択肢が用意されていた。
問2.次の8つの内、お嬢様が一番好きなジャンルはなんでしょう
①姉妹
②看護婦・ナース
③お姫様・女騎士
④女捜査官
⑤魔法少女
⑥退魔師
⑦くのいち
⑧幼馴染
「何これ? コスプレとか? アニメの話かな?」
「いや多い、多い。せめて4つにしとけって……しかもジャンルって……」
「まぁこれもどうせそっち系の話でしょ?」
「さっきのはそっち系じゃないわよ! なんで私だけこんな目に……」
「そうですね。では皆様の情報は既に調査済みですので、解答を外した方の好きなジャンルを公表します」
「「怖っ!!」」
「よし、でかしたわ五味渕」
「え? そんなの別に教えるのに」
ついに2人の首にも鎌が掛けられた。
恐怖のロリコン忍者なら本当にやりかねないと北条と南雲の顔つきが変わる。
ノーダメージなのは日頃から健全に生きている東堂だけだった。
「ま……魔法少女だろ。エグめの拘束とか好きそうだし……」
「女捜査官で……尋問するやつとか真似してそう……」
「百合が好きならやっぱり麗奈は姉妹ものが好きなんじゃないかな」
「フフッ……盛り上がって来たわね。さぁ、あなた達も心臓を捧げなさい」
ここで解答が割れてしまった3人。生き残ったのは……
「正解は③お姫様・女騎士です。全員不正解です」
「ギャーーーッ!!」 「いやーーーっ!!」
2名が悲鳴を上げながらフリップで顔を隠す。
「ど、どうして2人はそんなにテンションが高いの?」
「それじゃあ好きなアニメの話でもしましょうか? ねぇ、北条さんと南雲さん?」
五味渕が調べた情報に反論の余地があるかもしれない、あるいはさっきの発言は冗談かもしれない。
そんな一縷の望みはたやすく断ち切られた。
「北条さんの好きなジャンルはマッサージとエステです」
「……ちゃいます(ブクブク」
「へぇーそんなジャンルのアニメもあるんだ」
これには北条さんも思わず関西弁である。
ちなみにマッサージがテーマのアニメなど誰も聞いたことはない。
「南雲さんの好きなジャンルは幼馴染ものです」
「そうだよ! 後ろめたい事なんて何もないよ!」
「ちなみに、そこに超能力系が加わったものがお気に入りみたいですね」
「あー、催〇ね。結構エグいジャンルを……」
「え、えー? ワタシ何言ってるかわかんなーい!」
幸いこちらは東堂が理解出来なかった為、無事致命傷で済んだ。
北条も南雲に聞かれていたら死亡案件だったが南雲もそれどころでは無かった為、なんとか一命を取り留めた。
「ちなみに東堂さんは本当に清廉な方でした。普段そういったアニメとかは見られないそうです」
「え? そんな事無いけど? 有名どころは結構見てるよ?」
「私は逆にあなたの事が心配になるわ」
「それでは最終問題です」
個人情報の漏洩が止まらない地獄のわかり手クイズ。
その最終問題とペナルティは……
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