第215話 ――問おう、貴方が私の(自主規制)
まさしく快刀乱麻と言った活躍で百合の一件を雑に処理した4人は家庭科室へ。
放課後になった瞬間には業者を装った五味渕が家庭科室に例のブツを搬入していた。
「よくこの荷物を運べましたね。家庭科室の鍵も勝手に開けてますし……」
「恐縮です」
「いや、褒めてはないです……」
東堂に控えめに頭を下げた五味渕。
どうやら、彼女は丸女の教室全ての合鍵を持っているらしい。
「皆様のロッカーの鍵もご用意してありますので、紛失の際はお気軽にお申し付けください」
「え、こわ……。なんか無くなってたら五味渕さんの仕業ってことー?」
「恐縮です」
「褒めてない、褒めてない」
そんなやり取りをしているうちに後輩たちもやって来た。
***
ここから早速謎のコスプレ大会が始まるのだが、簡単に概要を説明したい。
まず、各員の指名されたコスプレ内容を知っている五味渕が系統ごとに分けて順番分けをした。
そしてこの順番に従って、家庭科室の裏に作った仕切りの中で一人ずつ西宮家のスタイリストたちが着付けを行う。
お披露目の後は最後に記念撮影があるのでそのままの恰好で待つ形だ。
それではお待たせしました、トップバッターはもちろん部長のこの人――
①北条茉希
(西宮からのお題:目隠し汎用戦闘アンドロイド)
銀髪のショートボブに黒のヘッドドレス、黒衣のドレスは胸元が空いておりスカートのスリットはかなり際どい。
そして何故か黒い布で目を覆っており、口元にはほくろが書いてある。
付属で日本刀もついて来た。
「恥ず……何なんコレ。なんで胸元空いてんの? なんかのアニメキャラ?」
「すごーい! 茉希ちゃん超似合ってるよ! それになんかエッチだね!」
「人の姉貴に向かってなんて事言ってんだお前」
「そうでしょう。この女、体つきはエロいのよ。そしてその目つきの悪さを眼帯でカバーすれば完璧よ」
「西宮、臭いものに蓋みたいな言い方はやめろ?」
西宮と南雲が盛り上がっているという事は有名なキャラなのだろう。
そう思いつつも北条にはもう一点、非常に不安な点があった。
「なぁ……このスカートの下の奴って履く意味あるのか?」
「もちろん、行くわよ。……キャストオフ!」
西宮が北条のスカートを
すると、かなりえげつない食い込みの純白レオタードが現れた。
「ちょっ……!? エグイって!! 本当にこんな格好で戦うキャラなん!? こんなんで戦えんの?」
恥ずかしそうに身を隠して後ろを向くが、お尻もお尻でかなりエロい。
「あ、あなたは……なんでそんなにサービス精神が旺盛なの……」
「そういうつもりじゃねぇよ!!」
服装のポテンシャルが高すぎる為、どうあってもエロい北条であった。
スカートは返してもらった北条は眼帯を外して次の選手を待つ。
②四方堂ガブリエル杏樹
(東堂からのお題:召喚に応じてやってきた騎士)
金髪を紺色のリボンで括り、前髪付近からは所謂アホ毛が伸びている。
青を基調としたドレスには金装飾がされており、さらにその上には銀の甲冑が装着されていた。
こちらも付属で聖剣付きである。
「問おう、貴方が……」
「ちょ、ちょっと杏樹ちゃん、あんまり役に入り過ぎると偉い人に怒られるから……!」
「素晴らしいわ。とても似合ってるわよ、ガブ」
「お、お姉さ……間違えました。ありがとうございます、マスター」
流石はフランス人のハーフだけあって西洋がモチーフのキャラは彼女の外見ともマッチしていた。
ただし、四方堂自身はあまりこのキャラに詳しくないらしく、
「
「それじゃただの迷子じゃん」
記憶喪失か迷子の騎士だと思っていたらしい。
西宮も知ってるアニメという事で興味を持った四方堂は暇なときに見てみる事にした。
邪魔そうに甲冑をどけて四方堂は椅子に座って次の選手を待つ。
五味渕曰く、次のコスプレも似たような色合いだと言う。
③一ノ瀬紗弓
(四方堂からのお題:未来から来たネコ型ロボット)
スタイリッシュな丸っこいフォルム、シンプルな青と白を基調としたデザイン。
それはどう見ても……
「ドラ○もんじゃん!! なんで四方堂さんこれ選んだの!?」
ちなみに今回は付属品にお腹の部分にポケットついてもうてます。
「いえ、パッと思いついたアニメキャラがそれしかなくって」
「おいおい一ノ瀬、完成度たけーな」
「そりゃ着ぐるみだからね!!」
「えー、一ノ瀬さん超似合ってる~。一生そのままで居ればいいのに」
趣旨を理解していなかった四方堂により悲しき犠牲者が生まれてしまった。
そもそも、コスプレというか遊園地とかにあるような着ぐるみなので一ノ瀬の原型は一切無い。
なんだったら一ノ瀬である必要も無い。
「なんでボクだけオチみたいに扱われて……」
「ボク……? なんだかんだ言ってあなたも役に入り切ってらっしゃるのね」
「ボクは元々この一人称ですけど!?」
「ど、ドンマイ……一年前なら絶対に僕が餌食になってたよ……」
この界隈の僕っ子の風当たりの強さに2人は涙する。
一ノ瀬は四方堂の甲冑など比にはならないレベルで椅子に座りにくかったので特別席が設けられた。
その背中には哀愁が漂っており、こんなドラえ○んは誰も見たくはなかった。
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