第135話 芋虫どもの完全変態(複数視点)
(side 百合 聡美)
飲み会の後、急に酔ってしまった2人を自宅に泊める事になった。
万里先生は休憩と言っていたけど、たぶん泊まるって事でいいんだよね?
前回の飲み会の時もお布団があれば2人を泊められたんだけど……
幸い、今回は偶然寝袋を持ってきていたらしい。
2人ともキャンプとか好きなのかな……?
私はリビングで2人が寝るスペースを作った。
「一晩暖房を掛けて置きますね。寒かったら温度上げてください」
「あ、え、えーと……そうだ、電気代。電気代が勿体無いよ。私たちは聡美ちゃんの部屋の隅でもいいから」
「そうですよ。せっかくなので今日は川の字に寝ましょう」
「か、川の字? 私が真ん中って事ですか? お2人がそれでいいなら良いんですけど……狭いですよ?」
千堂先生が言っている『せっかく』の意味はよく分からないけど、
2人は私のベッドの両サイドの床で寝ることになった。
「ぷっ、くく……2人とも何だか芋虫みたいで可愛らしいですね」
すっぽりと頭までモコモコの寝袋に入った2人はまるで芋虫みたいだった。
「え、聡美ちゃんが可愛いと言ってくれるなら今度からこれで出勤しようかな」
「そ、それはやめたほうが……」
「百合先生に虫と言われるとゾクゾクしますね……」
「すいません! 変な例えでしたか……?」
「いえ大歓迎です!」
またもや千堂先生の言ってる『大歓迎』の意味はよく分からない……
勉強不足なのかな?
でも、就寝前に誰かとこうやって話すのはお泊り会みたいで懐かしい。
楽しくて夢中になって雑談をしていると、安心感からか徐々に眠気が襲ってきた。
もっと2人と会話していたいけど限界かも……
「ふあ……今日は2人とも本当にありがとうございました。また、飲み会、誘ってくださ……ぃね……」
***
(side 万里 愛衣)
聡美ちゃんが寝てからしばらく経った。千堂陽子は……寝てるっぽい?
この状況でよく眠れるな。彼女は。
『芋虫みたい』と形容された私は、
「さ、聡美ちゃーん……? 起きてる?(小声)」
寝袋を脱ぎ捨てた私は聡美ちゃんのベッドの横に屈み耳元で意識の確認をする。
……熟睡、ヨシッ!!
しかし今日は別に如何わしい事をする訳ではない。する気もない。
ただ、可愛い聡美ちゃんの寝顔を見たいだけだった。
前回あんなに迷惑を掛けたのに聡美ちゃんは嫌な顔一つせず私たちを泊めてくれた。
それどころか、『また誘ってください』だなんて言っていた。
おそらく、本当に私たちの事を信頼してくれているのだろう。
正直言った所、少しもムラムラしてないと言えば嘘になる。
それでも信頼してくれている聡美ちゃんを裏切りたくない。
そんな気持ちの方が強いんだ。
私は可愛い顔で安らかに眠る聡美ちゃんの頬を突っつこうと、
――聡美ちゃんの服の中から手を引き抜いた。
……んん?
今、私の手…………
(聡美ちゃんの服の中入ってたーーーッ!!)
え!?
あれだけ心の中でそれっぽい事を語りながら本能では聡美ちゃんを犯そうとしてたってこと!?
本能、怖っ!!
きょ、今日は流石に絶対にダメだ! こんな事を知ったら聡美ちゃんを傷つけて……
「んんッ……んぅ…………」
気づいたら私の指はナイトブラ越しに聡美ちゃんの先端を擦っていた。
(な に を し て る ん だ !?)
だ、ダメだ完全に本能が理性を上回っている。
このままでは考えてる間にも聡美ちゃんは滅茶苦茶になってしまう!
私は最後の理性を振り絞って聡美ちゃんの服を直した後、手を毛布から抜き出した。
(頼むッ!! もってくれ!! 私の理性……ッ!!)
これ以上、本能に支配される訳にはいかない。
聡美ちゃんを守る為、私に残された道。
それは……
万里愛衣、覚悟を決めろ。
――愛する聡美ちゃんの為に!!
***
(side 千堂 陽子)
――ガコンッ!! ドサッ……
ん……? いま何か大きな打撃音がしたような……?
まぁ、気のせいか。
このまま寝てもいいが、一応トイレにでも行っておくか。
そして、トイレから帰ってきたはずの私は何故か脱衣所に居た。
正確には、洗濯機の前。
さらに加えて言えば、手には百合先生のパンツがあった。
(はッ!? わ、私は何を!?)
完全に意識は無かった。つまりは無意識下の行動。
現在、私は百合先生に対する重大な裏切り行為を行っている。
しかし今日、私は別に如何わしい事をする気は(以下略
気づけば私は自分のパンツを脱ぎ捨て百合先生のパンツを履いていた。
自分のものよりサイズが小さくピチピチなパンツはまるで、デリケートなゾーンを百合先生に抱きしめられているような感覚だった。
背徳的な感覚に内股になってしまっている私は性懲りもなくブラに手を伸ばす。
(だ、ダメだ!! このままでは全身に百合先生を纏ってしまう……!)
私は意識が残っているうちになんとか自分のパンツを履く事に成功した。
これ以上、百合先生を裏切りたくない。
ならば、もう方法これしか……
――愛する百合先生の為に!!
***
朝、病院にて。
「も、もうー! 2人とも心配したんですからねっ! 酔っぱらって頭をぶつけるなんて……」
「い、いやー。危うくキズモノになるところだったよ(聡美ちゃんが)」
「本当ですよ! 万里先生の顔に傷が残ったら私……一生後悔しちゃいます……」
起床後、頭から血を流して倒れていた2人を見て救急車を呼んだ百合。
いずれもケガは軽傷で、医者の診断によれば切り傷も痕にはならないらしい。
「千堂先生も、もう飲み過ぎはダメですよ!」
「は、はい。あと少しで穢してしまうところでした(百合先生を)」
「……千堂先生はもうケガしてますよ? まだ混乱してるんですか……?」
2人を心から心配する百合と、完全に変態していた芋虫どもの会話は絶妙に嚙み合わない。
結局、前日にも百合に死ぬほど迷惑を掛けた2人は本日も百合に死ぬほど迷惑を掛ける羽目になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます