#83 党の広告塔
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イェスカは眉を上げて怪訝そうに私を見てきた。
私とイェスカは街の外れの喫茶店でリウスニータを頼んで、イェスカが強く興味を持っている翠に関して話していた。自分が提供したリウスニータはラネーメ風味が強いと文句を言われたから、レトラの喫茶店に頼んでリパラオネ風のリウスニータを出してもらった。正直自分では何が違うのかよくわからないけど。
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イェスカがポケットから小箱を取り出しながら言う。開けた小箱から紙に包まれた板状のものを取り出す。そのまま、紙を開いて、中身を口に含んだ。
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優しそうな顔で箱を差し出すイェスカに首を横に降って否定する。「ちぇっ、おもしろくないな」という顔で箱を胸ポケットに戻す。私はケートニアーとはいえ、まだ未成年だ。見ればわかると思ったが、人の年齢を容姿だけで断定するのは至難の業だ。ラネーメ人っぽい容姿でなければなおのことそうだ。
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イェスカは未だ訝しんだ顔でテーブルの手をひらひらとさせていた。私の話をあまり信じていない様子だった。他のラネーメ民族といえばパイグ人やバート人、リパラオネ・ラネーミャンくらいしか知らない。翠の挙動、言語、慣習はそのいずれにも当てはまっては居なかった。
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「ふーん」とイェスカは言うと、リウスニータの残りを呷っていた。あまり興味がない様子だが、ここは話を切り出すチャンスじゃないだろうか。さっきから気になっていたイェスカがレトラまで来た理由だ。革命派の最前線に立つ
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イェスカはスプーンでテーブルに置いてあるバネクリャナショの表面をなぞった。甘いものが好きだとか、年頃の女の子みたいで人民を引っ張って闘争するイメージには合わないが、気に入ってくれたら何よりであった。おかげかは知らないが、質問を聞いて、アンニュイな表情で視線を逸して返した言葉には所々で見た嗜虐心のかけらも感じられなかった。
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イェスカはため息を付いた。楽しそうに口角を上げて、目を閉じて、頭を振っていた。
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突然何を言うかと思ったら、突拍子もない事を言い出して心が焦る。衝撃を受けすぎて私は何も声が出せなかった。ただただ、顔が赤くなっていくのを隠そうとしている私を見てイェスカは吹き出して、ついにはケラケラと腹を抱えて笑いだしてしまった。顔の火照りを振り払って、イェスカに向き直る。
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ため息をつく。元々の話から脱線しすぎた。
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楽しそうだったイェスカの表情も"
しばらく、目を見続けるとイェスカが根負けしたように目を逸して頭を振った。
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イェスカの低い声は更に詳しく目的を述べ始めた。
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