#286 それくらい分かってくださいよ!
"
そう呟くとレフィの人差し指の上に小さな炎が灯った。早朝の部屋、暗がりの中で揺らめく小さな光はとても幻想的だ。しかし、レフィはその炎を吹き消してしまった。
俺はテーブルを挟んで、レフィと向かい合って座っている。いつの間にか、
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"
そういってレフィはもう一回人差し指に視線を集中させた。
"
瞬間、先程よりも大きめの炎が空中に現れる。驚いて体が反応するほどの大きさだった。熱気がこちらにまで伝わってくる。レフィは少し苦々しい顔をしながら、しばらくそれを眺めた。そして炎を掴むように手を動かす。すると炎はボンッという音と共に一瞬で消え去った。
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レフィは、はあっと息を吐いて肩の力を抜いた。どうやらウェールフープには個人の向き不向きがあるようだ。それから逸れると難易度が上がり、疲れも生じるらしい。それに詠唱の仕方によって、ウェールフープの効率は変化するように見えた。"
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"
"
話を整理しよう。
レフィに見せられたのは、言葉を言うことによってウェールフープを発動することだった。ここから、"
"
つまり、"
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"
レフィは肘を立てて、両手を頬に添えながらこちらをじとーっとした目で見てくる。
"
"
良く考えなくてもそうだろう。乱闘を許す学園がそこら中にあるんじゃ世も末だ。まあ、他の異世界では違うのかもしれないが、少なくともここの住人であるレフィが言っている以上、ここ以外にはそういったところは無いのだろう。レフィが呆れるのも当然だった。
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"
"
肩を落としてがっかりするレフィ。間違えたのは"
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"
"
先を促そうとした途端に鐘の音が聞こえてきた。透き通った響きが学園に澄み渡るように鳴り響いていた。
レフィはその場で立ち上がり、掛け時計に顔を向けた。
"
"......
掛け時計の時針は真上を向いていた。時計を見つめ続ける彼女はそれ以上、質問に答える気はないようだった。
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