#118 逃走


―トレディーナ、ユエスレオネ共産党本部


"Si apasken彼は結局 es elseエルゼだったのか......"


 私――ターフ・ヴィール・イェスカはそういってため息をついた。全く面白みがなかった。党本部の軍事作戦室に集まっていた人間は既にちりじりに四方八方へと散っていた。机に戦略図、高官たちが壁のフックに上着を掛けたままだ。その部屋にはイェスカ以外誰も居なかった。

 ヤツガザキ・センの演説から三十分以内に事態は急変していた。誰かが軍用無線周波数帯を使って演説をしているという報告を受けてから聞いてみると結局それは失敗したように見えた。だが、何者かが敵の前哨地を爆破し撹乱工作をしたために全滅できたはずの政府軍前線部隊は丸々投降したということになっている。結局ヤツガザキ・センの計画は成功裏に終わったというわけだ。


"Si esおもし xarneろい...... setjじゃないか."


 どうせ彼は何もやっていない。運命の修正力が私の抗いを彼の物語に修正しただけで、彼は本当に何もする必要が無かった。しかし、いくら成り駒エルゼでもラヴェーは駒に過ぎないエス ラヴェー ラス。彼が無意識の英雄から離反することはできない。


"......Fmeaene'd無意識の fhjacafisti英雄?"


 脳内に浮かんできた単語に疑問を抱く。無意識の英雄なんて今まで何か考えて思ったことがあるだろうか。思考に誰かが侵入している気がした。八ヶ崎翠、八ヶ崎翔太……次から次へと意味不明なことが起こっている。八ヶ崎翠は神に認められたエルゼだったから、私はそれを妨害することすらままならなかった。

 私は中途半端すぎる存在だ。エルゼでも、ただのラヴェーでもない。創造主の存在を知ってしまったがためにただのラヴェーになり切れなかっただけでなく、エルゼになる資格すらなかった。このまま永遠にエルゼの主導するこの世界に従うしかないのなら最悪の状況だ。もう一生エルゼになることが出来なければ自分が生きている意味などどこにあるだろうか。


"Mi foffodyeこの理不尽には fqa'd neferlうんざりだ!"


 壁に立てかけてあった自動小銃――PCF99-02 ZYS カヴィーナを手に取る。膝の上に置いて、その側面を撫でた。

 これはPCF99 シェルトアンギルの改良型であり、故障が減り過酷な環境でも確実に動作した。この銃を見ると自分と同じだと思う。人民を救うために様々なものを切り捨て、発案し、そして怪我をして、直してここまでやってきた。本来であれば、先の政府軍の投降は喜ぶべきことなのだ。最終闘争の終了はすなわちフィシャ・ステデラフの時代から我々チャショーテの系譜が追い求めてきたプロレタリアート革命の勝利である。これまで多くの革命の志を持った闘争者たちが現れ、それを実現できずに死んでいった。それを自分が実現したのだ。誇らしく思って当然だった。


"haahaahahaahaa haahahaahahaa hahaahaha haha hahahaahahaa haahahaha hahaahaha hahahaahahaa haaha haha."


 いかにも笑えてくる。その全てが創造主がエルゼをエルゼとなすために計画してきたことだと知った私の気持ちはどうなる。これまで志半ばで死んで来た仲間たちの死もエルゼのストーリーの端話に過ぎないというのか。私さえもエルゼを引き立てるために遊ばれていたというのか。だとすれば、この世界にこれ以上の長居は無用だ。

 八ヶ崎翠のように私もこの世界での生を終えて、ウェルフィセルwerlficelを飛び越えて逃げるしかない。私に残された道はそれしかない。


"Cene niv絶対に mi korlixtel赦さ lot panない."


 愛銃を自分の胸に向ける。本当はこいつにはこんなことはしたくはなかった。本当にこの銃が好きなのだから、他に銃があれば他にそれを使って終わらせたかった。だが、もう時間はない。さっさとこれを終わらせなければならない。


"Hinggenferlヒンゲンファール adit a.d. elenそれにA・D・エレン, v.veisafisV・ヴェイザフィス...... fankaserssesti同志たち naceすまない......"


 無念の言葉は幾らでも見つかった。自分が居なくなった後に残った共産党の同志たちには私の行動は意味不明で自分勝手な遊びに見えるだろう。彼らもエルゼでなくただのラヴェーなのだからしょうがないが、自分の心には彼らがただのラヴェーであるという事実だけでは踏ん切りがつかなかったのが事実であった。人間というのはそういうものだと思うほかない。


"Malさあ, lecu miこんなことは lusus fqa終わらせよう."


 銃を強く握る。

 現世での死は確かに怖いが、これで終わりではない――そう考えて、トリガーに手をかけた。瞬間、胸に刺すような激しい痛みが伝わった。衝撃で椅子から崩れ落ちる。激しい痛みの中、誰かにこの事実を伝えたほうが良かったのではないかと思った。薄れゆく意識の中で私は机の上をもがきながら紙とペンを取って頭の中に受かんた言葉をひたすら書き留めた。

 ただひたすら、意識が消えるまで、ただただひたすら。

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