#278 名前だけで呼んでくれましたね!
"
二人の生徒は俺を認めると、互いに見合わせてからこちらに迫ってきた。一人は髪をワックスで立てた男子生徒で、もう一人は勝ち気っぽいポニーテールの女子生徒だ。
"
"
ワックスが吠えるのに同調してポニーテールも強い口調で何かを言っている。ワックスの方は良くわからないが、ポニーテールの発言はほぼほぼ理解できる。"
そんなことを考えていると、ふいにレフィが"
"
"
ワックスが逆上する。どうやらレフィの言葉――"
俺はレフィの肩を持って彼らに背を向ける。彼らを刺激するのを止めるためでもあった。
"
名前で言い淀んだ俺の顔をレフィはしばらくきょとんとした表情で見つめていたが、ややあってそれに気づいたのか、にやりと笑う。
"
"
"
"
"
"
恐らく"
それはそうと、もっと重要な問題がある。
"
リパライン語力が低い以上、テストとかだったら厳しいかもしれない。しかし、徒競走とか体力的なものを競うのであれば問題は別になってくる。
しかし、レフィは答えを選ぶのではなく、当然かのような顔で答えた。
"
"
"
"
ウェールフープといえば八ヶ崎翔太が言っていた能力のことだ。アレス・シャルの光球、夕張悠里や浅上慧の超人的な身体能力は全てそのウェールフープに由来する。俺自身の驚異的な回復能力もウェールフープという能力の一つらしい。ということは、俺はレフィとタッグを組んで異能バトルまがいのことをしなければいけないということなのか?
"
"
"
いきなりの出来事に困惑しているうちにまた背後から声が掛かってくる。
"
"
"
言葉を交して、お互いを睨み合うレフィとワックス。火花でも散りそうな光景に俺はついて行けなかった。
二人はお互いに手をかざし合う。俺以外全員覚悟が出来ているらしい。
"
""――
二人が何処かで聞いたことがあるような句を呼応するように唱えると、辺りの風景は一変した。それまで学園の中だったはずが広めのスタジアムのようなところに居たのだ。スタジアムを囲むのは何人もの生徒たちだ。気が眩むような人数がこの勝負を見ているらしい。
もう、展開が早すぎて理解が追いつかない。丸腰で猛獣の檻に投げ込まれた感覚だ。ウェールフープの使い方だってまだ八ヶ崎翔太に教えてもらっていないのだ。戦えるはずがない。
"
"
理解したことは唯一つだけだ。"
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます