#152 ISDE


 二人は図書館に入ってとりあえず適当な席に座っていた。背後にある窓から暖かな西日が差し込んでいる。この頃の天候は快晴だが、気温は常に肌寒いくらいだった。日にあたって温まるには丁度いい場所でもあった。


"Lirs, selene mi君の……が akranti co'd diax読みたい! Cene niv co君は授業が firlex lersse分らない lys……? Co letix firlexerlもしわからない niv felxところが mi kantiあれば mels la lex私が教えるわ!"

"Merえっと, xaceありがとう. Paでも, diax es harmieディャシュって何?"


 シャリヤはテーブルに置かれていた翠のノートを指さした。"diaxディャシュ"という単語はきっとノートを指すのだろう。翠はそれを手に取り、さっきまでやっていた授業を板書したページを開いた。当然そのページには完全に授業の内容が書かれているわけではない。


"Hmmふむむ, Fqa'd lersseこの授業は es acirlona'd……の意味について kanteやったのね?"


 シャリヤの問いに頷く。確かそんなことを授業では言っていた気がする。話が早いのと単語が分からなさ過ぎて何を言っているのかさっぱり分からなくなってからはひたすらノートを取っていたから話は全く聞いてなかったが。


"Fal panqaまず, mi qune niv<acirlon>が何なのか. Acirlon esわからないん harmieだけどね."

"Yuesleone'd acirlonユエスレオネの……は veles tisodo2003に fal 2003考えられたわ. La lexe'd ferlkその名前 es <ispiener……medarne……ust shrloしなさい da…… enomionas……!>."


 そういってシャリヤはノートに書いてある"<Ispienerイスピェネーmedarneustメダーネウスト shrloシュロ da enomionasエノミョナス!>"を指でなぞった。ユエスレオネという今翠が居る国家の名前が出てくるということは、国の象徴かなにかの名前なのだろう。国の標語か、国歌か、そこらへんだろうか。


"Cene co君はそれを sniror la lex……できる?"

"Snirorスニーオー?"


 次から次へとよく分からない単語が出てくる。シャリヤは少し悩んだ表情を見せながらも、しょうがないという表情で椅子から立ち上がった。胸を張って、握った手を胸に当て、目をつむった。


"Viojassasti同胞たちよ! shrlo is成れ zantanascheu. Farviles stoxiet farvil'i……を no'ceu今……."


 図書室の中だというのにシャリヤはいきなり歌い始めた。その声は透き通ってとても聞きやすい歌声だった。シャリヤの歌声、その中に混ざる声がぽつぽつと増えていった。周りを見渡すと、他の生徒や司書さんがシャリヤと同じように握った手を胸に当てて、目をつむって同じ歌を歌っている。


"Viojssasti同胞たちよ! fe ydicel la lexそれを. Fqa esこれは luarta elmo da……戦い……. "


 シャリヤが歌い始めた歌とその強い連帯感にデジャヴを感じた。この世界に来てから少しして、撃たれた翠はレシェールたちに助けてもらっていた。その時、寝かされていたソファの横で歌われているのを聞いた歌がこの歌であった。


"Snerien ladirccosti! Verxen nyrtatasti! Sysnulustan今日…… esである klantez co'dあなたの axelixfantil."


 あの時はさっぱり理解出来なかった歌詞もところどころ分かるようになっているのを感じた。そして、何故彼らが連帯感を持ってこの歌を歌うのか分かった。この歌が、元より彼らをまとめあげ、今は敵を倒して出来た国の賛歌となったからだ。


"Lecu text選ぼう blir'erchavil fallerのなかから siburl'd……の snenik."


 そして、この歌の名前に下手な名前を付けず、サビの最後の行そのままであるということが、彼らがこの歌と国に誇りを持っているということを表している。目をつむっていても分かる、その誇りに満ちた顔と歌声が図書室に満ちていた。その歌の名は――


"""Ispienerイスピェネーmedarneustメダーネウスト shrloシュロ da enomionasエノミョナス!"""


 歌い終わった生徒たち、司書さんたちは皆文句一つ言わずにそれぞれの仕事へと戻っていく。シャリヤも何事もなかったかのように

 入念に仕込まれたフラッシュモブを見せられた気分の翠は座って固まっていることしか出来なかった。シャリヤはそんなことをする性格でもない。きっと彼女が歌い始めたのに、近くに居た人間が乗っただけなのだろう。そして、"acirlon"は「国歌」で、"sniror"は「歌う」だったのだ。


"Edixa no io今歌った snirorverl elx esのがユエス yuesleone'dレオネの acirlon国歌よ."

"Edixa mi firlexなるほど......"


 最初は国歌の意味を教えるなんて、凄い政治的な授業だと思ったがきっとこの国の人々はそれだけこの歌を大切にしているということだろう。自分も歌えるようになりたいし、歌詞の意味を知りたいと思えてきた。


"Xalijastiシャリヤ, Kanti la lexe'dその歌の歌詞の意味を acirlona'd kante教えてくれないか."

"Jaもちろん! Lirs, la lex esそれが fqa'd lersseこの授業 jaはい?"

"Merえっと, jaうん."


 シャリヤは優しく肯定してくれた。確かに元の授業の内容もこの歌詞に関して教えてくれていたのだろう。今になってみれば、無意味なんて言わずにちゃんと板書だけでも取っていればよかったと思えてくる。

 シャリヤは近くの本棚を探して一冊の本を取ってきて、開いた。目次らしきページをなぞって何かを探していた。一瞬だけ見えた表紙にはユエスデーアの紋章、"Acirlonassasti国歌たちよ"という題名から国歌の本であろうという予想が付いた。

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