#153 色と言葉と国歌の歌詞と
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1. 4.
Farviles stoxiet
Snerien ladircco
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シャリヤが開いた本の中には先程歌われていた歌詞らしきものがあった。次のページには2. 3.と歌詞が続いている。1. 4.と書かれているということはまず最初にこの歌詞を歌ってから二・三番を歌って、また最初に戻ってくるという形式が正式なのだろう。今見てみるとよく分からない単語ばかりであるが、ある程度構造は分かる文章もある。少なくとも最初に歌を聞いたときよりかは、分かりやすくなっているはずだ。
"
シャリヤは一・四番の歌詞を指さした。翠は答えるようにノートにわからない単語を書き連ねていった。
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書き出してみると分らない単語は意外に多い。シャリヤも悩みながらも、ノートに書かれたいくつかの単語の横に絵を描いていた。"
つづいてシャリヤは"
シャリヤは自分の手持ちの筆箱から何本か色鉛筆を取り出していた。学校で使うことがあるのだろうか、結構多い種類の色鉛筆であった。"
描いているシャリヤは楽しそうだったが次から次へと色の名前が書かれていくのを見ていると混乱しそうだった。シャリヤも固まっている翠に気づいたのか、色鉛筆を置いて、他の単語の説明のために矢印をまた引いた。
今度の単語は"
"
"
"axelixfantil"は「建国の時」、"bli'erchavil"は「幸運の時」とでも訳されるのだろうか。
そういえば、歌詞では"
"
残った13の形態素を見ながら、難しそうな顔をしてシャリヤは呟いた。きっと残った単語たちは抽象的な概念だから難しいのだろう。特に"-'ceu"や"-stan"のような接辞は、機能語的であるほどその言語で外国人学習者に教えようとするのが難しくなるのは当然だ。日本語の機能語の言語学的な話を日本語でJLPT-N5レベルの外国人学習者にダラダラと喋っても無駄であろう。
"
シャリヤは翠がテーブルに置いていた辞書をひったくるように取ってバラバラとめくり始めた。最初に文字列で目星をつけて辞書を引く方法よりも非効率な検索方法だ。しかし、そんな探し方もシャリヤっぽいというか、ともかくこういう何処か抜けているところに人間は惹かれるのだろう。
そんなことをふと思いながらも、翠はシャリヤの辞書を一生懸命引く様子をしばらく眺めることになった。
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