#48 クワイエの敎え
"
"
"
なるほど、"
そんなことを考えているとシャリヤは翠に向かって"
"Wenlenpex, Wenlenpex, Ban missen tonir l'es birleen alefis io
シャリヤは前に行ってその白い布に手を掛け何かをぶつぶつと念じていた。邪魔に入れないような異様な雰囲気は日本では感じたことが無かった宗敎の匂いだった。ここが宗敎施設なのであれば、色々と辻褄が合う。街に似合わない色と変な形だったのは宗敎的にそういう形と色が施設を表すことになっているのか、伝統的にそうなっているのだろう。シャリヤがぶつぶつと念じているのは宗敎的な祈りで、シャリヤが訊いてきた"alefis"の存在は宗敎名か神の名前だったりするのだろうか。
"alefis"は"tvasnk"する対象であることが分かっているが、白ワンピの女性は確か"Co es
シャリヤが戻ってきた。何事もなかったかのようにすましている。先に分かった三つの単語の違いに関してはいまだ良く分かっていない。どうにかして訊き出したいが、どう聞けば良いか良く分からない。
とりあえず、三単語が理解不能であることを示すべきだ。
"
"Arjer......"
おっと、シャリヤは困り顔になってしまった。
宗敎関係の話なのだから多分言い出しづらいのか、いや、宗敎の話を持ち出しづらいのは日本くらいだ。インド先輩の話を聞いていると海外ではどれだけ宗敎と生活と文化・風俗・習慣が密接に繋がりあっているのか良く分かる。生活の中にヒンドゥー寺院やキリスト敎敎会、イスラム敎のモスクなどがあり、暮らしの雰囲気を和らげてくれている。まあ、異世界で宗敎がどのような扱いを受けているのか、どのような宗敎の信仰がなされているかなんてわからないし、一歩間違えれば大変なことになるナイーブな部分であることは変わりない。でも、だからこそ、彼らに精神的に近づいていくために知っていくことが大事なのかもしれないが。
"
翠がそんなことを考えているうちにシャリヤがそう答えた。この返答だけで大体わかってきた気がする。
トヴァスンクは「信仰する」、「信じる」の意味で使う動詞だ。"tvasnko alefis"は「アレフィス信仰」で、"tvasnker lipalaone"は「リパラオネ信者」だ。すると、"lipalaone"は「アレフィス信仰」であるということになるので、"lipalaone"は宗敎名かなにかなのだろう。「アレフィス」が"
"うーん,
というか、こういう場合信仰者じゃない人がこういう施設に入ってもいいものなんだろうか。異敎徒は出ていけという感じで、ばれたら追い出されかねない。この地域でこのリパラオネ敎が信仰されているとしたら、その慣例によっては異敎徒をどうするかも翠は知らない。異敎徒皆殺しみたいな感じだったらどうなるか、控えめに言って翠もただでは済まないだろう。まあ、ばれたらの話でばれなければどうということもないはずだ。当たらなければどうということはないと通常の三倍の人が言ってたし。
そんなことを考えていると、部屋の横側の扉が開いて先程の白ワンピの人が出て来る。手には二つの袋を携えている。こちらに近づいてきて、袋を渡してくる。シャリヤは何も不思議に思わず受け取っていたが、翠は受け取って良いのかわからなかったのでぎこちない動作になってしまった。
"
自分たちの横に座った白ワンピのお姉さんは翠を一瞥してそう言った。
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