#246 詩学院へ
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インリニアがうなだれながら言う。ユフィアがその懇願するような声に何かを諭して、インリニアはそれに反論することが出来ず不承不承という感じで彼女に付いていっていた。
いつもは活発で元気そうな彼女も今は元気が削がれた声色で不平を言っている。インリニアがどうしてこんな風になってしまったのか。実際の所、自分が知る由もない。何故なら唯一この三人の中でヴェフィス語をリパライン語に訳す能力があるインリニアがずっとこんな感じだからであった。シャリヤもきっと流れで付いてきているのだろう。
ユフィアと俺達一行は仕事場である調理場を抜け出してユフィアに同行していた。もちろんヴェフィス語が分からない以上、何処へ何のために行くのかは全く理解できていない。ユフィアは通りの市民たちに笑顔を振りまきながら、どんどん先に進んでいく。
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これで訊いたのは五回目だろうか。シャリヤもその答えに注目していた。インリニアは観念したようで不安げに髪を弄りながら、質問への答え方を考えているようであった。三回くらい髪を指に巻きつけるのを繰り返すとやっと彼女は話し始めた。
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理解できない単語を訊いただけなのにインリニアは答えることを拒否するかのように首を振る。その様子を見ながらシャリヤは小さな笑いを漏らす。
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インリニアの反駁にシャリヤはくすくす笑いながら答えていた。インリニアのほうはそんなシャリヤを一瞥するとふてくされたようにそっぽを向いてしまった。
今分かったことを整理するならば、"
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シャリヤは何故か胸を張って自慢するかのように言っていた。インリニアはそれが聞こえたのか、眉間を寄せて不機嫌そうにシャリヤを指差した。
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インリニアの即答にシャリヤと一緒に大笑いしてしまった。そんな他愛のない会話をしているうちにユフィアが立ち止まって建物を見上げていた。おそらく、ここが目的地なのだろう。
石を積み重ねて作ったのであろう建造物には独特の淡い赤銅の色味を感じさせる。地面から一段上の石にはつらつらと文字が刻み込まれている。リパーシェではないから一文字も読めないが、他にこういった建物は道中には見なかった。シャリヤも不思議そうにそれを見つめていた。
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インリニアは頬に手を当てて答えに悩んでいた。シャリヤが見ていられないという様子で銀髪を揺らしながら割り込んでくる。
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fai d'ens, la vaklen zu ret vioj's liacyeu cis da,
Timmel c'tisod jan,
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シャリヤはまた自慢げに腕を組んでいた。聞いた所、脚韻が踏まれていたり、リズムにそって言っているあたり"
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突っ立っているうちに建物の中から一人壮年の男性が出てきた。口に白い髭を生やし、その服装も清廉潔白そうな白い布であった。
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