二日目
#13 無意識の英雄
暗闇に居た。
手も足も、上も下も、右も左も、分からず。存在せず。
自分が何者なのかも、分からず、ただそこに存在している。
精神が融合し、全となり、自らを分割し、個となる。
故に私は、全であり個であった。
淡い光が近づいて、自分を照らす時、自分はそれを忌んだ。
私の睡眠を邪魔する存在は近づき、光は私を包んだ。
全であり、個であったそれは、つまり私を包む存在であった。
私であり、それは私でなかった。
「まだ、変なことを考えているつもりか」
変なこと。
変なことを考えることが私は出来たのだろうか。
全であり、個である私が何を考えるのだろうか。
「お前を個にしたのは私だ。」
光が更に近づく。
無いはずの手や足、頭、胴体が露になる。
「お前を変え、更によくするために私はやってきた。」
よくする?
「無意識の英雄に従え、うわべだけの目的にとらわれるな」
目的?
私の目的は……何?
「これ以上は、お前に触れられない。また、いつか会えたら会おう。」
光は消え、手も足も、頭も胴体も、自分も、何もかも消えて
眠った。
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