#296 赤毛のガルス


 その少年はどう見ても生徒たちと同じ制服ではなく、私服だった。レフィは彼をじとーっとした目でしばらく見ていたが、こちらに視線を向けながら首を傾げた。俺が首を振るとお互いにこの男の子を知らないことを理解した彼女は彼の視線にまでしゃがんで近づいた。


"Eskial jesnyp……の外所 lerから co klie ja君は来たの, doversnasti……?"

"A...... mi'sぼくは lineparine'iりぱらいんごを lkurf cene nivはなせない...... çihurtチフルトlirリルgüzギュズzhekhənジェハン......"


 俺とレフィは互いに相手の顔を見合わせた。そういえば、クラディアの言っていたことが正しければここはデュインという場所なのだ。ユエスレオネやスキュリオーティエ時代の多言語状況を思えば、ここにもリパライン語以外の言葉を話す人々が居るはずだ。しかも、初等教育以前の子供なら殆どリパライン語を話せなくてもおかしくはない。

 適切なところに任せるべきだろう。そう思った瞬間、レフィはびくびくしている男の子に視線を戻した。


"Miss cel-din co私たちが手伝う magから e-o lex shrlo怖がら niv y-di-cel missないでね."

"Lefhistiレフィ, deliu miss verlet練習をするんじゃ......"

"Metista si多分彼は es ladira……です. Deliu miss彼の両親を celdin jelo見つける手 si'd josnusn'it助けをすべきです. Korlixtel lot ers絶対に!"


 レフィはしゃがんだ姿勢から飛びつくように顔を近づけてきた。本当に元気な娘だ、と辟易しているうちに彼女が今までにない真面目な顔をしているのに気づいた。それは恐れや挑みのような能動的なものではなく、何か義務的なものに惹かれたような表情だった。その表情には何か吸い込まれるような魅力があった。蒼い目が意思を曲げない力強さを表している。

 だが、そんな魅力に単純に折れたくないとも思った。


"Paでも, Mi tisod ny la lex学校の誰かに探させた . Celeso lersseほうがいいrgala'd fhasfaんじゃな melferto esいの le vynutかな."

"Nivいや, deliu miss私たちが es la lex'iやらないと."

"Harmie co lkurfなんでそんな xale la lexに拘るんだ?"

"......"


 目を逸らす彼女の仕草はその理由を言いたくないと言外に述べていた。目は口ほどにものを言うとはこういうことなのだろう。

 俺を腕を組んで、男の子の方へと視線を移した。髪は赤毛で、瞳の色は黒、ここだけを見るとPMCFに多く居たラネーメ人の容姿に似ているが彼らの中には赤毛は居なかったはずだ。レフィの言っていた"ladiraラディーア"は民族名だったのかもしれない。

 男の子は俺達の会話を心配そうな顔で静観していた。この子くらいの年齢だと親と離れ離れになっただけで相当な絶望感を味わうことになる。それを差し置いて、変な方向へと話を進めている自分が何だか奇妙なことをしているのではないかと思えてきた。


"Merまあ, lefhistiレフィ, lecu miss ekce学校の人に引き melfert pesta渡す前に少し elx icveil si俺たちで探して lerssergaler'lみようじゃないか."

"Ers fal cirla本当ですか, xatvasti先輩!?"

"Jaああ, pa selene miまず一つだけ si'l nun fal panqa彼に訊きたい pesta la lexことがあるんだ."


 俺はレフィと同じように男の子と視線を合わせた。

 まず自分とレフィを交互に指し示す。それだけでは男の子は何のことだか理解できない様子でこわばった表情になるが、今度は同じ動作を繰り返しながら言葉を加えた。


"Mi es俺は jazgasaki.cen八ヶ崎翠. Ci es彼女は lexerl.fhineijuレシェール・フィネーイユ."

"Aあっ......! M, mi es僕は ju'rtinggiユルティンギ・ alettaアレッタ lirnatリーナット rkha'rcガルスです."

"Co es rkha'rc君はガルスだね?"


 こくこくとガルスは首を縦に振る。相手の意図を理解して言葉が通じた瞬間、彼の顔のこわばりは解けていた。

 そんな様子を見ていたレフィは感服したように息を漏らした。


"Edixa co tesyl上手く喋り lot lkurfますね, xatvasti先輩."

"Mer, jaまあな."


 適当に返しながら、立ち上がる。カリアホの時もそうだったが、言葉が通じない苦労は誰よりも分かっているつもりだ。

 それはそうとして……レフィは探すところの目当ては付いているのだろうか?


"Jol harmueどこを探す co melfertつもりなんだ?"

"Hmうーん...... Edixa harmueガルスくんはどこ rkha'rc molに居たのかな?"


 レフィが問いかける。しかし、ガルスはリパライン語が分からないのか、ただただ苦い顔をして首を傾げるだけだった。彼は彼の言葉が通じないのだと分かっている。それが精一杯の意思疎通なのだろう。それ以上を求めることは出来なかった。


"Hmうーん...... Lecu missここから alvaikon出ま tydiest eskiしょう fqa jaかね, xatvasti先輩?"

"Merまあ, Jol surul molそれ以外に方法は niv filx la lex無いだろうな."


 ガルスが難しい質問に答えられない以上はとりあえず学園内を歩き回る他に方法はない。レフィは俺の同意を聞くと立ち上がって、第一訓練所の空しく開いた出入り口に顔を向けた。

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