#297 リパラオネ人に見えますか?
"
そう言って、レフィはベンチに座り込んだ。隣にはガルスが居る。すっかり懐いた様子だが、二人共倦んだ表情になっていた。
学園内を歩き回ってガルスの両親を探し始めてから30分は経過していた。とりあえず、二人で練習所のある棟を隅々まで見てみたがガルスの特徴に合うような、或いは彼が見知っているような仕草をする気配はなかった。棟の外に出たものの、レフィもどこを探そうか途方に暮れている様子だった。それだけこの学園内は広いのだろう。
俺もガルスを挟むようにしてベンチに座った。
"
"
"
"
考え始めたレフィのツインテールを隣りにいたガルスが引っ張る。彼女が「んにぃ!」と変な声を出すとガルスはすぐに手を離して、申し訳無さそうな顔をした。
"
"
ガルスがあたふたして言った言葉に対してレフィが怪訝そうな顔をして訊いたことで彼は更に焦り始めた。そんな二人を横目に、俺は言葉を訊いただけで分節できないことから、それがリパライン語なのではなく彼の――"
俺はガルスの肩を軽く触って彼を落ち着かせながら、レフィに視線を送る。
"
"
彼女が言い淀んだところで微妙な空気が漂ってきた。何か不吉なものを感じて、話題を変えようという直感が働く。
"
"
"
納得で息が漏れる。クラディアは確か、デュインという地域があるのはアレークウィという場所だと言っていた。ユエスレオネがあるのはファイクレオネで、そこからウェールフープの技術を使って世界の間を飛んでいるという話だったはずだ。つまり、異世界の異世界というのは本当だったのだ。そのうえで、彼は"ladira"、つまり"|filx faikleone'd larta《ファイクレオネ人以外の者》"ということになる。つまり、その意味は「先住民族」あたりということなのだろう。"
そこまで考えついたところで、ガルスの耳が何かを聞き取ったようにぴくっと動いた。彼はさっとレフィの方を見上げた。
"
"
"
ガルスは自分のことを指して、"
それを聞いたレフィは目を見開いて驚いていた。
"
"
そう答えると不自然な間が空いた。レフィは少し寂しそうな表情でガルスから視線を逸している。
"
"
"
目に見えて落ち込み気味のレフィに少しおどけながら冗談を言ってみせる。それでもレフィの顔色は晴れなかった。
"
"
"
懇願するような目で俺を見上げていた。間に座っているガルスは静かに二人の会話を観察している。さて、どう答えたものだろう。
そう一度は考えこもうとしたが、特にいい案が浮かんでくる感触もしなかった。素直に答えれば良いだろう。
"......
そう答えると彼女は嬉しそうに口元を綻ばせた。レフィの目にぱあっと光が集まったように見えた。広陵とした海のような蒼い瞳がキラキラと光を反射している。
レフィは立ち上がって、こちらを見据えた。
"
何を言ったのかは良く分からなかったが、レフィはどうやら元気を取り戻したようだ。それだけで何だか、自分まで元気が出てきたような気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます