#281 きっと記憶を取り戻せますよ
落ち着いたところでレフィに学園の中を案内してもらう。各施設を一緒に回ってくれる彼女は本当に楽しそうだ。
この学園は敷地内に複数の教室棟があり、どうやらこれまで通ってきた学校とは一味違うようだ。行く先々で奇妙な現象を見かけた。大荷物に手をかざして接触せずに運んでいた生徒もいれば、広場に雪を振らせたり止めたりしていた生徒も居た。全部、恐らくウェールフープによるものだろう。だからこそ、ここの生徒たちはそういった現象に一々驚いたりはしない。レフィもそうだ。だが、俺は記憶だけの話をすれば地球人だし、怪奇現象を見る度に足が止まってしまっていた。
運動場や図書館が大きく複数あることを除けば、施設自体は普通の様相を呈している。今、休憩しているところも良くある学食っぽいところだ。レフィに温かい飲み物を選んでもらって、しばらく呆けていた。
しかし、だからこそ奇妙に思ったことが一つあった。
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頷きながら、手元のマグカップを持ち上げた。漂う香りはルーリア祭のときに飲んだリウスニータに似ているが、色が焦茶色なのが気になる。一口飲むと口の中にリウスニータの濃厚な味わいと多少の焦げ臭さと苦味が広がった。リウスニータのアレンジなんだろうか、正直なところ、あまり口には合わない。
知らぬ間に顔を歪めてたのか、レフィは俺の顔をじっと見つめてきた。その手元のマグカップに入っているのも同じ飲料のようだ。一口飲むと彼女は首を傾げた。
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「オレ」が俺と正反対な気がしてきて、気味が悪くなってきた。
……。
先程の言葉を整理しよう。"
自分たちの決着を付けに来たところを見ると、あれは一種の決闘のようなものだったのだろうが……。
「デュエル……」
"
「あれ、文字通り『おい、デュエルしろよ』だったのか……」
"......???"
困惑するレフィの前で謎の理解に至ったところで話をもとに戻す。
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レフィが得意顔で始めた説明はほとんど全て理解できないものだった。聞いたこともない単語が出現しすぎて推測もつけがたいが、つまりそれくらいには簡単な話ではないということだ。確認できる事実はここにはないということだけだ。それで今、不利になることもない。
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言ってみれば、今はレフィにおんぶに抱っこの状態だ。否定はできない。レフィは席の距離を詰めながら、顔を見つめてきた。
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答えが曖昧になってしまったのは、言っていて辛かったからだ。やっぱり良心の呵責はいつまでもついてくる。レフィには可哀想だが、いずれはっきりと真実を述べる時が来るのだろうか。
そんなことを考えているとレフィが何かを思い出したように「あっ」と声を漏らした。
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肝心の自分の寮を完全に失念していた。自分の帰る場所が見つからねば、そもそも落ち着くことは出来ないというのに。
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俺は立ち上がったレフィの後ろについて行くことしか出来なかった。俺はまだシャリヤと話せてさえ居ない。彼女に真実を話すのはまだ早いだろう。
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