五日目
#42 ヒンゲンファール・ヴァラー・リーサ
その日の朝も非常に好調なスタートを切った。シャワーを浴び、用意された服に着替えた。リネパーイネ語で何かを説明するということが出来る段階まで来ていないので身振り手振りと"
見覚えのある看板が見えてくる。
インド先輩の友人から教えてもらったことがあるが、太字のスラブセリフという奴だろう。書体にはセリフ書体とサンセリフ書体がある。文字に飾りがついているのがセリフ書体で、そうでなくなにもつかず寸胴な書体がサンセリフ書体になる。セリフ書体の
"ざ、
"
昨日パンフレットをくれたお姉さんが入り口の脇のカウンターに居たので一応挨拶をすると作業を一度止めて、ポニーテールを振ってこっちを向いて笑顔で返してくれた。挨拶だけでも通じると凄く嬉しい。この瞬間のために言語を学んでいるということもあるかもしれない。やっぱり言葉が通じると気持ちがいい。
"
"
"
"
ヒンゲンファール・ヴェー……なんか強そうな名字ですねえ。というかそういう話ではなくヒンゲンファールさんは何故名前を知っているんだろう。昨日名前を教えたりしたっけ。
"
"
ふむ、詳しくは分からないがレシェールが先に翠の噂をヒンゲンファールさんに言っていたらしい。
"
"
(あれ?)
ヒンゲンファールさんは翠の言うことに被せて、恥ずかし気にそう言った。文頭で否定して"
つまり、ヒンゲンファールさんは翠に何かを求めている。
"
"
あ、もしかしてヒンゲンファールと呼ばれたくないとかそういう話なんだろうか。ヒンゲンファール・Vは実名だけど、日常的にはそう呼ばれたくないだとか。何て呼んでもらいたいかというのは自分で決める権利がある。インド先輩の知っている人にはしきりに戸籍名と実名を分けて使うように意識していた人も居るし、きっとヒンゲンファールさんもそのような感じなのだろう。
"
"
ヒンヴァリーさんの笑顔は名前が変わっても、変わらない。中へ入ることを指示されたので翠は図書館の中へと進んでいった。
「ふむ……。」
市立図書館といった規模の図書館で、そこまで大きくもないし小さすぎもしないという感じであった。とりあえず今日はここがどのような感じか一日引きこもって雰囲気を掴んで、本の置かれ方などを見て、言語学習の役に立ちそうな資料を見てみよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます