#113 捜索


 結局のところ、出陣式でシャリヤを見つけることは出来なかった。隊列は過ぎ去り、音楽団、合唱団が兵士たちの後ろに続いたところで見る必要性を感じなくなってその場を去っていた。イェスカは去る翠に対して何にも言うことはなかった。


 家に帰り、リビングのテーブルに書類を広げる。

 窓から伸ばした大きいアンテナがケーブルを通してリビングのテーブルに置いてある無線機と繋がっていた。スクーラヴェニヤから手に入れたフェンテショレーの周波数帯、文章を探して大体の予測がついたイェスカたちが利用する周波数帯、情報は揃いつつあったがただ一つ重要な情報が抜け落ちていた。シャリヤが参加している部隊の作戦開始時刻が分からないということだ。こればかりは、部隊使う周波数を突き止めてしまう以外にやり方はない。しかし、一人であれもこれもやっていれば、事故に繋がる。一人で出来なければ、多人数で役目をしっかりと割り振り、活用する。

 そのために信用できるメンバー二人に集まってもらった。


"Cenesti, deliu mi私は何を es harmie'iすれば?"

"Mi set俺は qune niv…… mels infenderlは分からんぞ, cenesti."


 既に家の中で待機してもらっていた二人――エレーナとレシェールが答える。二人とは事前に作戦を共有している。翠の目的を理解して、信用できるイェスカ関係者でない知り合いといえば、この二人くらいしか居なかった。しかし、二人とも翠の目的に快く賛同してくれた。かかる危険性に関してもシャリヤの死の可能性の前では小さいものだと言ってくれた。そうしてここに集まっている。

 エレーナは右手で前髪を弄りながら、心配そうにこっちを見ている。レシェールはというと待ちくたびれたとばかりにあくびをしていた。


"Mi celes二人に niv snietij何か難しい iulo qa'dことを larta'cやらせる zu es cossつもりはない. Selene miエレーナ celesには senostoイェスカ elerna'stの教会 jeska'dの軍の lertasala'd通信 elmersse'dを聞いて olfeso欲しい. Mi kanti無線機の使い方 lusel olfyl'itは教える."


 エレーナに向けてテーブルの上にあった無線機のヘッドセットを持ち上げて、見せる。彼女はそれを認めて頷いた。


"Firlexなるほど, pa senostでも聞いて mal esどう harmie'iするの?"

"Als elmersse'st全軍が elmil'i戦闘する時を qune mal理解して mi演説 vasperlkurfを行う. Ete'd liestu他の時間 io es fqa'iでこれをやれ mal fqa isこれは niv vynut悪いことになる."

"Mal, ers mi俺は?"


 エレーナに説明している途中で、レシェールが口をはさんできた。自分が何をやるべきかさっぱり分かっていない様子だった。大丈夫、絶対に機械の操作なんてさせないから安心してくれ。


"Mi'st俺が vasperlkurfil演説しているとき io co pusnist誰かが tydiester入らないように fhasfa'st fqa'ltしてほしい."

"Zuつまり, mi俺が sesnud cen翠を……するってことか?"

"Jaそうです."


 動詞が良く分からなかったが、頷いておくとレシェールは"firlexなるほど, fgir es確かにそれは mi'd duxieno俺の仕事だ."と納得してくれた。

 翠の演説が始まった時点でイェスカの側には誰が何をしているのかが速攻で伝わるはずだ。翠の家の位置を知っているイェスカは手を出そうと思えば、すぐに通信機を破壊するなり妨害が可能なはずだ。外部に誰かを配置して守りを固めることも重要だと思い、レシェールを呼んだ。


"Letix fqaこれを."


 テーブルの上に拳銃を置く。レシェールはどこぞの司書さんとは違って小銃などを常に持っているわけではないだろうから貸し与えることにしていた。もし、イェスカが自分を襲撃させようと思うのならば銃でも何でも使うだろう。対抗できなければ、この作戦は失敗に終わる。


"......"


 レシェールは黙って拳銃を受け取り、無造作にポケットの中に突っ込んだ。

 レシェールには家の玄関の入り口付近で見張りを行うことを説明し、エレーナには無線機の基本的な使い方を教えた。そうして、エレーナはイェスカ側、翠は異教徒側が使っている周波数の特定を始めた。


"Harmie?"


 特定を始めた直後、エレーナは不思議そうに低い声で無線機に向けてそうつぶやいた。何かを見つけたのか、不安そうな顔をしてこちらにヘッドセットを渡す。翠はそのヘットセットを付けると頻繁に通信をする音を聞くことが出来た。


"Siss xelvin elm彼らは続けて戦っている!"


 エレーナの顔は恐怖に塗れていた。軍事とは全く関係のなかった友達が戦場に送られて兵隊をさせられているのだ。自分だって怖い。彼女の死、そしてここに居る人間に悲劇を繰り返させないことがこの作戦の重要な目的だ。


"Jaああ, mi vasperlkurf始めるよ."


 そういって、翠は無線子機を片手にとった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る