五十六日目
#300 願えば、叶うんですよ
ついにこの日が来てしまった。"
結局、ウェールフープの訓練をすることも、自分が何の能力を持っているか知ることも出来ず、戦場に出ることになる。
先の決闘と同じように上手くいくのだろうか? そんな不安のせいでいつもより早く起きてしまった。窓から見える空は明るみを帯び始めたところだった。
制服姿で静かに鏡を見つめていた。他の生徒達はまた起きていないのだろう。外から生活音もまだ聞こえてこない。そんな時間に聞こえた解錠音はとてもはっきりとしていた。
"
"
振り向くと制服姿のレフィがそこには立っていた。恐らく替えがあったのだろう、布地が新品のようで袖の辺りに折り目が付いている。ケープを結ぶリボンは新しいものになっていた。今度は青色のリボンだった。
ピンク色のツインテールが可愛らしく振れる。蒼い瞳がこちらを認めると彼女は口元を綻ばせた。
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"
返した言葉の弱さに気づいたのか、レフィは少しバツが悪そうにしていた。手を後ろに回してふらふらしながら、視線をこちらから逸していた。
"
"
にこっと笑うレフィ。その純朴な信頼にどのように答えればいいのか分からなかった。
他愛もない会話をして、食堂で朝ごはんを一緒に食べた。その間も、今も頭の中に居座っているのはシャリヤとレフィ、そしてエレーナのことだった。彼女たちが一番幸せになる選択が分からない。
バトルロイヤルは学内ではなく決闘のときと同じような別の場所で行われるらしく、生徒たちはそこに入るための列に並んでいた。殺気立っている生徒も居れば、楽しみにしてきたとペアと会話している生徒もいる。そんな人混みの中にはエレーナとシャリヤの姿が見えた。彼女らはこちらに気づいていないようだった。
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"
列に並んでいる間、完全に手持ち無沙汰になっていた。レフィは俺の呼びかけに振り向きながら答えた。
"
"
"
レフィはその場で腕を組んで、瞑目し考え始めた。列の最前列ではペアの登録と確認作業が行われているようだった。列は少しずつ前へと進んでゆく、その間彼女は難しい顔をしながら考えていた。
"
レフィは中空を掴むような眼差しで前を見つめながら、白色とも言えるようなプレーンな声色でそう呟いた。彼女が俺にとっての難問を簡単なことだと断じたのが不思議でならなかった。
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"
"
レフィは言葉を遮るように顔を近づけてきた。近い。息が当たるような距離だ。
"
"......"
声が出なかった。そういえば、俺は何故二者一択に拘っていたのだろうか。シャリヤを取れば、レフィが失われ、レフィを取れば、シャリヤが失われ、そのいずれかをとっても彼女の二面性の一部が暴力的に失われると、一体何を根拠に思っていたのだろうか。
レフィは身を引いて、胸に手を当てて言葉を続ける。
"
"
俺が答えた瞬間、前のペアが登録を終えて奥の方へと捌けていった。受け付けている人が「
"
レフィは受付の人と話し始める。何だか、現実とは乖離したような感覚を覚えながら、受付の様子を外から眺めるように見ていた。
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