#291 他の女の子を見てちゃダメですよ
テーブル席に座ると、レフィは袋の中を漁って一つ小袋を差し出してきた。袋の表面にはリパーシェでウォルツァスカと書いてある。中には、紫色の不定形のものがオブラートで包まれたようなものが入っている。
受け取ると彼女は嬉しそうにニコッと微笑んだ。
"
彼女は小袋を注意深く開けながら、そう問いた。
"
"
"......
"
自分でも悪い癖だとは思うが、どうしても未習得の文法に目が行ってしまう。
"
俺はそんな思考を隠すように小袋を開けながら、周囲に視線を向けた。
"
"
"
レフィの方に振り向きながら、疑問を投げた。これまで何回も聞いてきた言葉だったが、分解しても良く分からない。"
レフィはそんな俺の問いに少し戸惑いながらも、自分に言い聞かせるように頷いてから答えた。
"
ぐいっと両手で視線を戻される。目と鼻の先に現れた彼女は不満げな視線をこちらに向けていた。
レフィの方を向いて話を聞いていたはずが、いつの間にか周囲の群衆に目が行っていた。どうしても人混みがあると、そこにシャリヤを探してしまう。今、彼女を見つけたところで何かが解決できるというわけでも無いのに。
首元の筋肉が引きつりそうな間隔を覚えながら、俺は答える語彙を探していた。
"
"
"
"
レフィは視線を逸して、口を噤んでいた。どうやって答えようか、迷っているようだった。彼女の表情は少し寂しそうなものに変わっていた。
"
"
"
その視線はどこかを見上げるようだった。蒼い瞳が可憐に輝いていた。
"
"
レフィはしみじみと何かを思い返すように言う。その余韻が彼女の決意を明白に表していた。
直接は教えてもらえなかったが、"
"
"
レフィは問いを聴いて、また困った表情を見せていた。
"
彼女はそう言って、手元のウォルツァスカを口に含んだ。思えば甘酸っぱい香りが先程から手元に漂っていた。
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