#291 他の女の子を見てちゃダメですよ


 テーブル席に座ると、レフィは袋の中を漁って一つ小袋を差し出してきた。袋の表面にはリパーシェでウォルツァスカと書いてある。中には、紫色の不定形のものがオブラートで包まれたようなものが入っている。

 受け取ると彼女は嬉しそうにニコッと微笑んだ。


"Lirsそういえば, selene xatva先輩はアレス・ molkka ales.シャリヤに勝ちたいxalija'c metistaんでしたっけ?"


 彼女は小袋を注意深く開けながら、そう問いた。


"Jaああ...... metista多分な"

"Fhurはあ...... Lkurf fynetjそれについては mels la lexはっきり?言って plax下さいよ."

"......fynetjはっきり??"

"Jaそうですよ, Shrlo fynetはっきり lkurf mels言って la lex plax ja下さい, xatvasti先輩."


 自分でも悪い癖だとは思うが、どうしても未習得の文法に目が行ってしまう。

 "fynetフュネット"は確か「はっきり、明確に」という意味だったはずだ。ユエスレオネの戦いを止めるために熱が出るほど努力した演説で使った言葉だ。良く覚えている。だが、今回は"fynetjフュネティ"という別の形で出てきている。以前から疑問だったが、シャリヤと緩衝音の話をした時の"Kraxaiun pervoj/fendej"のように時々出てくる形容詞や副詞に"-j"が付いた形は良く聞いていた。先例を見ると、A修飾語N被修飾語の語順に反して、NAの語順で修飾したい場合に付けるように見える。

 俺はそんな思考を隠すように小袋を開けながら、周囲に視線を向けた。


"Molkkavo es勝つことが les vynut esel一番良い手段 felxなら selene miあのペアに molkka勝って virlarteustustanみたいんだ."

"Firlexなるほど, malじゃあ deliu miss……で一緒に anfi'erlen fal頑張らなきゃ lernniejodalsto jaですよねっ."

"Lirsそうだ, la lexe'dその «lernniejodalstoレーンニェヨダルスト» es harmieって何だ?"


 レフィの方に振り向きながら、疑問を投げた。これまで何回も聞いてきた言葉だったが、分解しても良く分からない。"lernレーン"は「離れる」、"niejodニェヨド"は「生きる」、"-(a)lst(ア)ルスト"は良く分からないが"-(i)rlst(イ)ールスト"に似ているような気もする。"-o"はここでは名詞化語尾なのだろうが、それにしても情報が少なすぎて意味が分からない。

 レフィはそんな俺の問いに少し戸惑いながらも、自分に言い聞かせるように頷いてから答えた。


"Werlfurp leusウェールフープを使って als inistilterss全てのイニスティルテー...... zuつまり kantet fqa'dここの生徒 lerssergerssたちのことですね i m'elm……が戦って, letix彼らの nisse'd elme順位を持つこと. La lex esそれが lernniejodalstoレーンニェヨダルストです. Merまあ, la lex esあれは殆ど xale retovoお互いに殺し合ってる miscaonjようなもので...... jeiって, co arcies聞いてます, xatvasti先輩? "


 ぐいっと両手で視線を戻される。目と鼻の先に現れた彼女は不満げな視線をこちらに向けていた。

 レフィの方を向いて話を聞いていたはずが、いつの間にか周囲の群衆に目が行っていた。どうしても人混みがあると、そこにシャリヤを探してしまう。今、彼女を見つけたところで何かが解決できるというわけでも無いのに。

 首元の筋肉が引きつりそうな間隔を覚えながら、俺は答える語彙を探していた。


"Merえっと, naceすまん. Mi arcies説明はちゃんと plasierl ja聞いてたよ."

"Deliu co xel他の……を見て niv ete'd mianちゃダメですよ. Xel mi私だけを見 lap plaxてて下さい!"

"Harmieどうしたんだ, lefhistiレフィ?"

"Harmieどうしたって......"


 レフィは視線を逸して、口を噤んでいた。どうやって答えようか、迷っているようだった。彼女の表情は少し寂しそうなものに変わっていた。


"Cunだって, Jol co furnkie他の人を私 mirg'i ete'd larta'cの代わりにペアに mels virlarteustしちゃうかもしれない jaから......"

"Lefhistiレフィ......"

"Is niv mirg'i私を一人にしない panqa'c plaxでくださいよ, xatvasti先輩. Cun, mi letix liqka私は……を持っているんですから."


 その視線はどこかを見上げるようだった。蒼い瞳が可憐に輝いていた。


"Harmie es liqkaリックァって何だ?"

"Mi'd liqka私の……は es iso kertni'arケートニアー護衛ven官? sesnuderになることです. Fua la lexそのためには, deliu mi veles先輩の助けが celdino xatva'st必要なんです."


 レフィはしみじみと何かを思い返すように言う。その余韻が彼女の決意を明白に表していた。

 直接は教えてもらえなかったが、"liqkaリックァ"という単語の意味は「将来の目標」なのだろう。"kertni'arvenケートニアーヴェン sesnuderゼスヌデー"は直訳すれば「異能者ケートニアーな護る人」となるが、恐らくそういった職業名なのだろう。しかし、それと俺には一体何の関係があるのだろう。それに彼女がそれに憧れた理由も知りたい。


"Lefhistiレフィ, Harmie coなんで君は fergen'artz la lexそれを目指しているんだ?"

"Arあぁ...... merえーっと......"


 レフィは問いを聴いて、また困った表情を見せていた。


"Joppえっと, Mi kantiそれはまた fal etil今度と mels la lexいうことで."


 彼女はそう言って、手元のウォルツァスカを口に含んだ。思えば甘酸っぱい香りが先程から手元に漂っていた。

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