五十四日目
#290 そんなに声を荒げてどうしたんですか?
「ぐへあっ!?」
その日の起床はそんな奇声を伴いながらのものだった。
経緯を考える。俺は昨日、レフィが落ち着くのを待って、そのまま寮の自室に帰ったんだった。そのまま熟睡してしまったらしい。
そして、今。目の前には自分の上に乗っかっている少女が居た。正座を崩したような座り方だ。馬乗りではなかったことに不思議な安心感を得られた。
彼女の桃色のツインテールが振れて、蒼い瞳がこちらの様子を伺っている。そうだ、この娘の部屋は真横で、合鍵を持っているんだった。
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レフィは全く話を聞いてくれる様子がなかった。目をキラキラさせながら話す様子は可愛いが、力説する度に彼女の体重が腹に食い込んで、「ぐえっ……」となる。そろそろ降りて欲しい。マジで。
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「ぐぇっ……
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起き上がって、レフィの脇を持ち上げる。体格が小さいことからも彼女は軽々しく持ち上がった。"
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レフィは首を振って、素直に部屋の外へと出ていった。俺は掛けてあった制服をとって着た。今の自分にとって服といえば、これ以外にない。正確に言えば、同じ制服が5つもワードローブの中に入っていたというのが正しいだろう。過去の「オレ」はどうやら着るものに無頓着だったようだ。そこだけは共感が持てそうで安心した。安心して良いものかは分からないが。
レフィに案内してもらったのはポップな駄菓子屋のような場所だった。小袋に入ったお菓子やスイーツが並んでいる。それを見ながら歓談しているのは殆どが女子生徒だった。レフィが言っていた"
レフィは店の中を覗き込むように見てから、こちらに振り向いた。
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答える間もなく、彼女はバタバタと店内に行ってしまった。待っている間、ペールトーンなインテリアの店を見つめるだけの時間が続いた。女子生徒たちの怪訝なものを見るような視線が痛いのを我慢しながら待つこと数分後、レフィは両手に一杯の袋を携えて帰ってきた。
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レフィは自慢するように袋をこちらに差し出してきた。"
袋の中身を見ると、様々な菓子が入っていた。バネクリャナショとパッケージに書かれたものだけでなく、ウォルツァスカやカスクなどどこかで聞いたことがあるようなものも入っていた。
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レフィは袋を俺に渡しながら、店の近くのテーブル席を指し示した。どうやら、イートインスペース的なところがあるようだ。
しかし、その前に一つ訊いておきたい疑問があった。
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教室の棟の方を指差しながら言う。本当は「いつから授業が始まるのか?」と訊きたかった。しかし、「授業」という単語が分からず、"
レフィは俺が指差した先を見つめて、少し悩んでいたが少ししてから口を開いた。
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説明からしてみれば、"
レフィは納得のため息を聴きながら、少し不審そうな表情をした。
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そういって、レフィは俺の腕をとってイートインスペースの方へと引っ張っていった。
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