#289 傷つけたいわけじゃないんだ


 結局二人共、ずぶ濡れになってしまった。図書館の前を往来する人たちから二人は好奇の目を向けられていた。いつの間にか空は快晴になっており、全身が濡れた二人は人々の目に奇妙に映っているのだろう。そんな目から逃げるように俺達は落ち着ける場所を探して図書館の裏へと回っていた。

 レフィはワンピースの裾を掴んで、絞っている。際どいところまで捲られている彼女の素足を一瞥して、静かに俺は目を逸した。


"Edixa co xel見ましたか?"

"Nivいや."

"Edixa harmie何を見てな co xel nivいんですか?"


 レフィの顔がニヤつく。肺の浅いところから自然にため息が出てきた。


"Lkurf nivそういう風に言 xale la lexうのやめろよ."

"Mi lior laprysten私は単に私が xelerl zu mi……言ってない fynet lkurf niv見たものを……~"

"Fhurはあ...... Lirsそういえば, Cene werlfurpウェールフープって celes lerno水が離れることを ietosta'stさせられるのか?"

"Selene co lkurf……のことを言い mels elx snisioたいんですか?"

"Jaああ, metista多分."


 「乾かす」という単語が分からず、"celes lerno水が離れる ietosta'stことをさせる"などと言ってしまったが、どうやらレフィには通じたようだ。"snisioスニズョ"というのが恐らく「乾かす」を表す動詞"snisiスニズィ"の動名詞形なのだろう。

 レフィは頬に手を当て、悩んでいるようだった。


"Cene co es乾かすためにそれ la lex'i fuaをすることは snisio pa可能だと思いますけど......"

"Fhasfa'd fafsirl何か問題でも molあるのか?"

"Xatva'd先輩の werlfurpウェールフープ fiunon festel……に世界に unde'c実践すると. Mi tisod la lex思うんですよ."

"Firlexなるほど......"


 "festel実践する"を使っているあたり、レフィは恐らくまずやってみることを勧めているのだろう。さっき起こったことを考えると言い出しづらいのも分かる。だが、次も失敗するとは限らない。

 レフィが魔法詠唱学の存在を教えてくれたときに唱えていたのは"dexafelkデシャフェルク"という言葉だったはずだ。同じように唱えれば火を起こすことが出来るかもしれない。あるいはイメージの差とかで現象が変わるなら、ヒーターのような効果を起こすことも可能かもしれない。

 俺が人差し指を立てると、レフィはその先に心配そうな視線を注いだ。


"Xatvasti先輩, la lex esそれは......"

"Ers vynut大丈夫だ. ‹Dexafelkデシャフェルク› !"


 指先に小さい光が灯った。と思いきや、光は指先からレフィの真上へと移動し、何かが弾けるような音と同時に彼女のケープに光が落ちる。それと同時にケープに火が付いた。


"hhhhhhharmieなああああああああ!?"


 レフィの肩は燃えていた。俺は焦りながら自分の上着を脱いだ。何かを喚きながら、クルクルと走り回るレフィを捕まえる。片手に持った上着で火をはたくと延焼はすぐに収まった。


"Lefhistiレフィ, co es vynut大丈夫か?"

"Harmie cene niv大丈夫に xel vynut larta見えますか!?

"Naceごめん......"


 レフィは涙目でこちらを見上げてくる。捕まえたときに焦って抱きつくような姿勢になっていたから、彼女が間近に居てこっちのほうが混乱してくる。恥ずかしくなってレフィを離そうとすると、彼女は逆に俺にしがみついてきた。


"Lefhistiレフィ?"

"Fenxis coウェールフープを viedost luso使うことを…… werlfurp……. Cene larta isこうやって……する kysen fal noだけでも人は xale laprysten暖まれる ferkaeso atんですから."

"......"


 レフィは温もりを求めるように俺の胸に顔をうずめる。雨に濡れて冷えた体に彼女の体温が染みるようだ。しかし、果たしてこの温かみを享受し続けて良いのだろうか。シャリヤに偽証を立てていることにならないだろうか。

 そんなことを思っているとレフィはすすり泣き始めた。落ち着かせようと彼女の頭を撫でる。


"Co jel ixeno何処か痛 fal fhasfaむのか?"

"...... Jaはい."

"Harmueどこだ? "

"Ers fusaf……です."


 そう言うと共に彼女の掴む手が強く握られる。


"Miss p'es私達はペア virlarteustなのに, xel ete'd他の事ばっかり iulo lap見てて. Mi ydicel先輩が私から離れて xatva lernoどこかに行ってしまう fhasfa'l mi lerのが怖いんです. Magだから, mi celes liorvo先輩が私に…… xatva'st mi'ctさせようとした paけど co firlex niv気づいてくれない......"


 レフィは顔を上げる。涙で潤んだ瞳は俺の目を真っ直ぐ見つめていた。俺がいくつもの問題と板挟みになって葛藤している中で、彼女もまた悩んでいたのかもしれない。

 レフィはただただ静かに泣きながら、こちらを見ていた。何か彼女の確信となるような答えを待っているような気がしていた。


"Fal ny nestil atこれからも, miss es俺達が vynut ol et大丈夫かは. la lex'i mi'sわから firlex niv. Paないが, Cene mi一つだけ lkurf panqa'd言えること iulo lapがある."

"......harmieなんですか?"

"Selene niv mi俺は君を celes elx icveo傷つけたく ixeno'it co'stはないんだ."


 絞り出すようにして出した言葉にレフィはただすんと頷くだけだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る