#77 ジショを詠め


(読んだ本……か。)


 返答を心躍らせながら待つイェスカと対称に表紙の一単語を理解しただけで本を読んだと言うべきか結構困る。だからといってここで読んでないと言っても、載っている画像は見たのだし嘘になる。どう答えるべきか悩んでいるところに厨房から声が聞こえた。


"Mi akranti私は"xol fasel"を xol fasel mal読んで mi lodiel彼に…… la lex si'c.しました Si niv akranti彼は…… natj als.全部読んでない"


 シャリヤの答えに助けられてほっとする、というか割とシャリヤは色んな本を持っている気がする。宗教の教典から辞書から、文字学習用の冊子から"xol fasel"と何から何まで持っている。ラノベくらいしか読んでない自分からしたら割とハードな読書家なのかもしれない。


"Malそれじゃあ, co vxorlnes xolo'c?あなたは改宗に……なの"


 シャリヤの答えを聞いて、イェスカは目を輝かせて、身を乗り出して質問してくる。"vxorlnesヴショールネス"ってなんだろう。ともかく楽しそうな表情で訊いてくるので、悪い意味で訊いているわけではなさそうだ。辞書も手元にあることだし、一瞬で語義を理解できるか分からないがやってみよう。


"Mili mi plax.ちょっと待って"


 イェスカは一瞬、怪訝そうにこちらを見てきたが、まあいいかとばかりにアンニュイな表情で椅子に深く腰掛けて足を組んで窓の外を眺めていた。すぐに辞書を取り出してペラペラと頁をめくってvの文字を見つけた。


vxorlnesヴショールネス


【ft.i】s tisod firlexosはiを知り selene i. たいと思う


:Si vxorlnes彼は……を知 arlefi'arりたいと思う.:


 イェスカの表情と文脈からして多分"vxorlnesヴショールネス"は対格に興味の対象を取る「~に興味がある」という動詞なのだろう。つまり、イェスカが訊いているのは「じゃあ、改宗に興味があるのか?」ということになる。


(どう答えればいいんだ……。)


 エレーナに"xol改宗"は分かったと言った時に複雑な表情をしていたように日本とここでは宗教観が違うことは確実だ。変なことを言えば嫌われるに違いないが、だからといってどう返せばいいのだろうか。自分の宗教観はこれこれだというふうに説明できるほど語彙力と文法力はない。


"Mi俺は......"


 答えに戸惑っていると、目の前の椅子にイェスカの姿が無かった。周囲を見渡すとすぐ横から太腿の上で開いていた辞書を覗き込んでいるのに気付いた。いつの間に音も立てずに移動したのか。


"Harmie fqa es?なにこれ Levipesti?辞書"


 イェスカは少し驚いたような声色で辞書を指さした。"ja.はい"と答える前にシャリヤが二つのグラスを持って来て、それらを置いた。


"Cene niv si彼はリネパーイネ語を…… fav firlex理解で lineparineきない mag letix levip.から辞書を持っているんです"

"Zu, cene niv si firlex彼は分からない paしかし harmy co lodiel何故、君は kranteerl?本を……"


 イェスカも純粋な疑問から質問しているのだろう。なんで言語も話せない人間に難しい本を読ませようとするんだというところだろう。確かに、サンスクリットのサの字も分からない人間にマハーバーラタを原文で読ませようとするレベルで暴挙には思える。だが、


"Paそれでも, selene mi firlex.知りたかったんです Co es xale harmie.あなたがどのような人か"

"Paでも, ers neferl!……だ Cene co君は……を akranti dieniep?読めるのかい"


 "dieniep?ディェニェプ"と自分が首を傾げると、イェスカは懐から手帳を取り出して何かを書いて見せた。123と書いてあるのは分かったが、それがdieniepなのだろうか。つまり、「数字は読めるか」と訊いてきた?確かに、理解はできるが数詞がどうなっているかは良く分かってなかった。


"Cene mi firlexそれは分かるけど fgir pa lkurf niv.読むことはできません"


 なるほど、と言った感じでイェスカは頷いていた。シャリヤは一度キッチンに戻って自分の分のグラスにお茶を注いできたが、イェスカの意図が良く分かっていなかったようで口をつぐんでやり取りを観察している様子だった。


"Firlexなるほど, malじゃあ deliu co veles数字を……読み方を kantio akrantiel'i教えてもら dieniep'it.うべきだ"

"Akrantielesti.読み方"


 イェスカの意図なんてこちらこそ良く分かってないことだ。リネパーイネ語が話せないといえば、いきなり、数字の読み方を覚えるべきだとか。確かに数詞が言えずによくここまで問題なく生きてこれたなとは思うが、大人気芸能人なる存在に言われると何か頭にくる気がしなくもない。


"Lirs, Hinggenferl xaleヒンゲンファールみたいな ferlke'd larta名前の人が mol fal fqa'dこの街に marl ja?いなかったっけ、 xalija xici?シャリヤ……"

"E, ar, ja.え、ああ、はい"


 いきなり声を掛けられたシャリヤは困惑しながらも答えていた。数詞の話が、ヒンゲンファール女史の話に飛ぶのだから良く分からない。というか、何時の間にシャリヤの名前を知ったのだろうか。あと、会って数分で相手の名前を言うことは馴れ馴れしいと思われないのだろうか。


 イェスカは数秒頭に手を当てて悩んでいたが、腰に手を当てて、びしっと人差し指でこちらを指さして、向き直った。


"Deliu co veles君はヒンゲンファール kantio hinggenferl!さんに教わるべきだ Ci彼女 m'jercetesty kestinebierl, ci'd彼女の lafirmeto es……である nermetixal alesen arlefi'ar'd……の sapitaz sopit. Ci彼女は metista es……である snylod."

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