#116 報復


―ファールリューディア、共和国政府軍前哨地


"Xetten sedot薄汚ない terxessesti奴隷共が......"


 目の前に広げられた戦略地図に向かって吐き捨てるように言った。

 政府軍の前線指揮官である私の前にはもうどうしようもない程の戦況の傾きが手に取って見えた。革命軍が各地で反抗作戦を行い、勢力を拡大させていくと共に政府軍の内部でも命令に従わなくなった部隊は幾らでも存在した。下部の政府に従う部隊が上部の革命軍に従う部隊によって破滅に追いやられ、潰走するという始末だ。

 我々の部隊への政府からの指令も途絶えた。革命軍を挟撃するはずだった西方の部隊は革命ゲリラの奇襲によって各個撃破された。今、我々は全ての頼みの綱を失っていた。


"Hah hah hahははは......"


 笑いに口元を歪める。

 こんなところで犬死してたまるものか――という感情が湧いてくる。この状況では革命軍の圧倒的な勢力差に押されて全滅するに決まっている。降伏を申し出ても、その意味はないだろう。名誉を捨てて、自分の命が数時間救われる程度のために降伏して結局死ねば後世で笑われるに決まっている。謎の少年の呼びかけに賛同する精神的敗北者の一兵卒の命などもはやどうでもいい。戦場でのケートニアーの利用が教法に反するなど馬鹿馬鹿しい。死ねば、どうせ我々はクイトに送られる。ならば、最後まで足掻いて悪の限りを尽くそうではないか。

 数分前、ケートニアーの下士官をかき集め、決死の前進を決断した。下士官たちはウェールフープを利用して離反しようとする兵卒どもを精神操作し、ウェールフープが利かずに従わないケートニアー兵については射殺した。これで、革命軍も驚くだろうと思いきや、奴らは的確にケートニアーの督戦を射殺していた。

 情報を聞くたびに、怒りが増した。ウェールフープの効果が解けた兵たちは革命軍に亡命しようとしているらしいのだ。武器を捨て、軍服を脱ぎ、喜び勇んで革命軍の兵士と抱き合ってるというのだ。私には全く理解できなかった。


"Deliu mi後方の部隊に jostol ficirve'l通達しなければ."


 無線機の子機を取り上げて、にやりと笑う。

 どうやって、裏切り者を皆殺しにしてやろうか。ケートニアー兵は後方に居るのでウェールフープを使うのが良いだろうか。死にたいと叫ぶまでの痛みを与え、全身の骨を粉砕し、奴らの頭をねじり切って、ヴェントタード刑にしてやろう。どうせ皆死ぬのならば、不名誉な裏切り者には不名誉な死が一番お似合いだ。

 そんなことを考えていた時、子機を持っていた片手が何故か目の前のテーブルに打ち付けられた。手に力など一切込めていないのに勝手に動いたので不思議に思って見ると、手は血塗れで痛みが認知された。何者かが、自分の手を撃ったのだ。そう思い、振り返るとそこにはフラニザを着たシャーツニアーじみた若い女だった。


"Lulas molありえ luaspastない!Edixa coお前は jisesn pa死んだはず!"

"Lkurf niv黙って. Fudiur niv動くな."


 シャーツニアーは振り返った自分に向かって片手で拳銃を構えていた。その顔は覚悟が決まって清々しいとばかりにこちらを見下げていた。白いフラニザはシャーツニアーの徴だ。しかし、その白いフラニザもところどころ返り血や黒ずんでいた。彼女はその顔についた瑞々しい血を払った。

 彼女が全く怪我をしてなさそうなところを見ると、衛兵を惨殺しながらここまでたどり着いたということになる。彼女が一体どれだけの人間を殺してきたか、それは以前私たち上級指揮官に与えられた機密資料でよく知っていた。

 テクタニアー計画の被験者の一人で、何人もの革命軍捕虜を実験台にウェールフープで殺してきた。そして、スパイとして彼女の地元であり、革命軍の占領地レトラに秘密裏に戻された。地下道を通して、政府軍に情報を与えながら、ケートニアー状態を維持するために第二系統WP可能化薬を受け取っていた。

 しかし、内通者であることが知られ政府軍に終了させられたはずだった。顔も資料で見たものと同じだ。このシャーツニアーは間違いなくだ。しかし、確かに終了させられたはずで、生きているわけがない。


"Pusnist部隊の前進を votyno ti止めなさい. Elmostanこの戦いは xelvin esもう kantenerfe ti無意味よ."

"Hahはっ, cene nivそれは mi es e'iできん. Ers nostujuceもう遅すぎる."


 そう言い放った瞬間、肩に激痛が走る。痛みに喘ぎながら、肩を抑えると大量の生暖かい血が肩から出ているのが分かった。痛みに耐えきれずにそのまま椅子から崩れ落ちるようにして床に倒れた。

 これだけの威力を放つ拳銃といえばケートニアー用大口径対物拳銃くらいだろう。まともに内臓に弾を受ければただでは居られない。急所を外すということは生かしておく何らかの目的があるはずだと思った。


"Malそれじゃ, mi es e'i私がやる."


 そういって、彼女は机の上にある無線機を持ち上げた。手際よく操作して部隊の武装解除などを発言していく。ひとしきり言い終えた彼女は通信を終了して、自分が元々座っていた椅子に腰かけ、こちらを見下げた。

 一つ疑問になるところがあった。何故、我々を攻撃したのかということだった。


"Harmy celdin何故共産主義者 adkonsterlzerss共を助ける. Fgirss es奴らは niv co'd zelk敵だったんじゃないのか?"

"Nivいいえ, adkonsterlzerss共産主義者たちは es mi'd zelk ti私の敵よ. Paでも......"


 フィシャは顎を上げて、さらに嗜虐的な表情でこちらを見た。


"Coss dalionあなたたちも tast mi私を裏切ったじゃない. Novol es復讐 fai biumoなのよ."

"Hah hahははっ...... ers biumo復讐だと? Paしかし, co xelvinもうお前が letix niv生きる道は fhasfa'd niejodel残されて fal noいないぞ."

"Ja tiそうね, no es liestuもう潮時ね."


 そう言って、フィシャは椅子を立った。

 机から離れ、舞うように一回転する。すると、フラニザが際どいところまで舞い上がって、遂には下着が見えるほどに舞い上がった。シャーツニアーにふさわしい、フリルなどの装飾の少ない白のパンツとブラが見えた。失血死する前に目福をくれるとは一体何を考えているのか良く分からなかったが次の瞬間、その腹に括り付けられた炸薬が目に焼き付けられた。フィシャの手元にはスイッチらしきものが握られていた。彼女の顔は満面の笑みだった。


"Selene mi最後に jydij fal踊りた petexilかったの."


 そのフィシャの言葉が聞こえた瞬間、爆音と爆風が意識を刈り取った。

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