#146 時制復習
【
動詞などにつく語尾"
シャリヤは日本語の時制に興味があるということになる。
(いきなり、時制の話か)
リビングのテーブルに辞書を広げながら、翠は頭の中に疑問符を浮かべていた。
シャリヤには文法の説明はほとんどしていない。やっとひらがなが読めるようになって、挨拶もある程度分かるというレベルでしか無い。こんな最初の段階で時制を教えようとしてもいきなり過ぎないだろうか?
"
シャリヤが後ろから覗き込むようにして、見ている。いつの間に制服を着替えて居たのか、緑色のチュニック姿になっている。垂れた髪が背中に触れるほど顔が近い。こんなことは滅多に無いので、どうしてもあせあせしてしまう。そんな心情を繕うように、言葉を返した。
"
翠が訊くと、シャリヤは少し考える仕草をして、辞書を指さした。
"
"
そういえば、日本語を教えながら、リパライン語も教えてもらおうとしていたのだった。今まで学んできたリパライン語の時制というと"
"
"
日本語の時制と言われてもよく分からない。インド先輩は東洋言語が苦手であまり話したがらなかったから、日本語の話はあまり聞いたことがない。こういう肝心なところで役に立たないのがインド先輩である。
かといって、学校文法を思い出そうとしても時制、と独立した概念があったかどうかすら記憶に怪しい。多分助動詞「た」のように、助動詞の枠に収まっていた気がする。
整理しようと思うと動詞のに接続する「~する」「~している」「~した」「~していた」の4つになる気がする。つまり、現在との関係を表す時制は過去と現在・未来に分けられ、動作の完結性などを表す相は完結と非完結で分けられる。
"
"
シャリヤの不思議そうな声と表情に気づくものがあった。
日本語では時制と相を分けずに、どちらも「時制」と呼ぶ場合が多い。リパライン語ではあまりそういった言い方はしないのかもしれない。だが、それにしてもリパライン語で「相」を表す単語を聞き出す方法もよく分からない。
"Tismal,
訊き出そうと悩んでいるところで、シャリヤが助け舟を出してくれた。後ろから覗き込んでいた彼女は、隣に座ってきて持ってきたノートをテーブルに広げていた。しれっと肩を翠に寄せているのが愛らしかった。
多分、時制と対比している要素に分解して二つづつにしているということはもうの"disarajuto"は「相」を表す単語なのだろう。つまり、一応翠の意図は通じたということになる。
"
シャリヤはノートに線分を書いて、それに縦線を3つ入れる。それぞれの縦線の上に"
"
"
答えに困る翠を見て、シャリヤは更に説明しように可愛い唸りをあげる。
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