#178 ジェパーシャーツニアー


 目の前の机にはフラットブレッドと野菜類、水の入ったコップが並べられていた。シャリヤも翠も朝から何も食べていない。自分は黙々と食べ始めてしまったが、シャリヤは何かを待っている様子だった。シャーツニアーの女性がその様子を見て少し苦笑いしていた。シャリヤはその苦笑いに気づくとフラットブレットを掴んでいた腕を掴んで顔を近づけてきた。何かを諭すような表情だった。


"Mili knloano fuaジェパーシャーツニアーが klieil来るときのために dzeparxarzni'ar'st食べるのは待っ plax, cenesti. Liaoll miss……私達の……では私達は knloan nivジェパー pesta klieilシャーツニアーが dzeparxarzni'ar来るまでは fal misse'd terso食べないのよ."


 シャリヤの諭しに従うようにフラットブレットを置くと彼女は微笑んだ。ジェパーシャーツニアーが何なのか気になったが、フィアンシャの高窓から差し込む日に当てられて光が踊る彼女の髪を見ていると彼女が愛おしく思えて、じっと彼女を見つめてしまっていた。気付いたときにはシャリヤの顔はほんのり赤くなっていて、目はこちらを向いていなかった。恥ずかしがり屋の彼女も可愛い――そんなことを思っていると、背後の戸が開いた。

 シャリヤは机に手を付きながら立ち上がろうとしていた。挫いた足が痛むのか、彼女は一瞬顔を歪めた。心配で手を差し伸べようとすると"Xaceありがとう."と短く答えて、しかし手を借りずに深呼吸をしてから戸の開いた方に向けて立ち上がった。

 文脈からしてジェパーシャーツニアーという宗教的に権威のある人間が来たということだろう。その代わりに思い出したものはレトラのフィアンシャに押しかけてきた粗野な民兵たちの姿だった。あの衝撃は今でも覚えている。今もあの時も、自分は追いかけられる存在である。変わっては居ない。

 自分も立ち上がって開けられたほうを見る。そこにはシャーツニアーの女性と同じような服装で、更に装飾品を身に着けた荘厳な雰囲気の女性がこちらに向かってきていた。彼女もまたシャリヤと同じ銀髪蒼眼だが、メガネを掛けており、その瞳からは理性を感じた。

 恐らく、彼女がジェパーシャーツニアーであろう。


"Xux el misse'dフィアンシャ fi'anxaへようこそ, mian ad mionasti……よ. Mi es fixa私はフィシャ・.lecherdiaレチェーデャ zu es fqa'dこのフィアンシャの fi'anxa'dジェパー dzeparxarzni'arシャーツニアーをしています."

"Xace fuaあなたの…… co'st keplesoありがとうございます."

"X, xaceあ、ありがとうございます, dzeparxarzni'arstiジェパーシャーツニアー."


 ワンテンポ遅れて、シャリヤに続いて感謝を表す。レチェーデャと呼ばれた女性は自分たち二人の答えを頷くように受け止めて、自分たちの真後ろの椅子に座った。

 彼女はメガネを上げるとシャリヤの方を向いた。


"Co'd tvacferlkあなたの……名前 es harmieは何?"

"La lex esそれは filena karedza……です."

"Malそれで, co'd tvacferlk君の……名前 es harmieは何?"


 自分の方には来ないであろうと思っていたら、質問が直撃してしまった。レチェーデャは口元に手を当ててこちらに微笑みを投げかけていたが、"tvacferlkトヴァスフェールク"の意味が分からなくては答えようが無かった。微笑みの視線に耐えきれず、シャリヤを乞うように見ると助け舟を出そうと言うがごとく頷いた。


"Si qune niv si'd彼は彼の…… lexissnen mag知らない…… tvacferlk at melsjトゥヴァスフェールク………… si qune彼は…… tesnoken……知って aloajerlerm lapいる. La lex esそれは...... sin."

"Hmふむ, ers sin……ね."


 シャリヤのフォローでなんとかレチェーデャは納得したようであった。水色鳥のSNSにシャリヤのように容姿端麗で、頭も良く、気遣いも出来る少女がアカウントを立てればそのフォロー数こそたちまち納得行く結果になるだろう。もっとも、この世界にそんなものが存在するはずもないわけだが。

 レチェーデャは目を瞑り、少し俯いた。


"Wenlenpex, wenlenpex, wenlenpex, Ban missen tonir l'es我々の神である birleen alefis ioアレフィスにおいて elx shrlo akraptes filena karedza ad sin plaxしてください. Fakhvot alle dalle liest ale xale alefis plaxアレフィスのようにしてください."


 レチェーデャの唱えた言葉はやはりほぼ分からなかったが、やはりどこかで聞いたことがあるような言葉であった。独特な音調の"Wenlenpexウェンレンペシュ"という言葉は、たしかこの世界に来てから五日目にシャリヤとフィアンシャに行った時に彼女が唱えていた宗教的な祈りで聞いたものと同じであった。つまり、レチェーデャはどこの誰とも知らない翠たちをリパラオネ教徒であるというだけで祝福してくれたのかもしれない。先程の質問もきっとそれに関係するものなのだろう。


"Xace fua tvarcaro私達のために……して fua missありがとうございます."

"Als es nivどういたしまして, xalijastiシャリヤ."


 シャリヤのお礼にレチェーデャは名前を呼んで答えた。彼女はまたメガネのブリッジに触れて上げ、微笑みのまま静かにしていた。

 恐らく、"tvarcaroトヴァーサーオ"というのは"tvarcarトヴァーサー"という動詞に動名詞を作る"-o"がくっついた形なのだろう。"tvarcar"自体は文脈から考えて、「祈る」などが妥当だろう。

 そんなこんなでシャリヤは出されていた料理を食べ始めていた。翠もそれに倣ってフラッドブレッドに手を付けることにした。


 それにしても、翠の中には一つ疑問が湧いていた。シャリヤはレチェーデャに今までの会話で自分の名前は言っていないはずだった。それなのに彼女は今、シャリヤという名前に呼格を付けて呼んだ。一体どういうことなのだろう。まさか、この世界の宗教家は人間の名前を透視することが可能だとかそういういきなりファンタジー要素を含ませてくるような設定があるのだろうか?

 真偽はともかく、訊いてみるしかなさそうだ。


"Dzeparxarzni'arstiジェパーシャーツニアーさん, harmie co qune何で彼女の名前を ci'd ferlk知っているのですか?"


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