#193 レシェール・ラヴュール


"Edixa mi俺はした larpi'sci derok!"


 胸をなでおろすようなため息が聞こえる。Tシャツ一枚とカーゴパンツ、首にはドッグタグのような金属片をチェーンで掛け、黒髪をオールバックにした暑苦しい男――レシェールであった。一歩づつ歩いてきて翠の方にしゃがみ込むともう一人の人影の方へと顔を向ける。

 若く端正な顔、銀の短髪の跳ね具合がサバサバした性格を感じさせる。紺色のブレザーには三つの星を表すのだろう胸章が付いている。青年は親しみやすそうな笑顔を湛えながら、何かを掴み取るように中空に手を振った。手を離すと銃弾がその中から落ちた。一体何を遊んでいるのだろう。


"Edixaした afnar feucocar. setとても lolerrguston es e'iする dorne? Paでも, si es彼は kertni'ar……だ."

"Co esあなたは harmae誰ですか?"


 何やら良く分からないことを言っている青年に顔を向けていう。レシェールはそういえばという顔をしていた。


"Si esこいつは lexerlレシェール.lavyrlラヴュール malそして es mi'd俺の rylun……だ."

"Rylunリュルン es harmieとは?"

"La lex esつまり mi'd俺の viojunsarpha'd弟の selun子供だ."


 レシェールは滞りもなく説明してくれた。つまり、"rylunリュルン"は「甥」を表す単語なのだろう。青年――レシェール・ラヴュールはレシェールの親族ということになる。紛らわしいから、この青年はラヴュールと呼ぶことにする。


"Harmue xalijaシャリヤはctor mol……どこに居る?"


 周りを見渡しながら気配を探っているような雰囲気のラヴュールはぽつっとそう呟いた。無力感に駆られながらもシャリヤが椅子に固定されていた部屋を指差した。ラヴュールは真面目な顔をして指差した方向を見て進んでいった。

 レシェールはしゃがんだままそれを見届けた。


"Lexerlestiレシェール, hingvalir adヒンゲンファールさん elerna adとエレーナ felirca isとフェリーサは harmieどうしたんです?"

"N? Niss molあいつらなら別の ete'd molalところにいるよ."

"Malじゃあ, harmie co何で俺らの firlex misse'stいる場所が molal分かったんですか?"

"Miss俺ら g'is veijydert, veles ulesnoラヴュールに lavyrli'st危なくされた. Malそれで, edioll liaxu俺たちは君たちを melfert助ける tydylizast fua為に……を celdino探して misse'st coss'itいたんだよ. Lavyrl esラヴュールは FF'd desteker……の…… melx jol coss君たちの molal'iいる場所を elx edixa jel俺が見つけたって mi's訳だ."


 レシェールは淡々と話していった。細かいところは良く分からなかったが、ヒンゲンファールたちは別の場所に居てレシェールたちはラヴュールと協力して翠たちの行方を探していたのだろう。恐らく"veles危なく ulesnoされた"ということはラヴュールが何か失敗して、レシェールたちを追われているということなのだろう。

 そんな事を考えていると廊下の奥の方から近づいてくる二人の人影が見えた。薄暗い廊下から光の当たる場所に出てくると、その銀髪が独特の色味を持つようになった。眠そうに目元をこすっているのはシャリヤだった。足元が覚束ない様子で少しづつこちらに近づいてくる。恐らく睡眠薬の影響がまだ残っているのだろう。ラヴュールはシャリヤに手こそ貸さないがその歩調に合わせて付いていっていた。


"Xalijasti...... 無事だったのか」


 ついつい、日本語が出てきてしまうほどに安心した。安心して胸に手を当てて溜息を付いていると、シャリヤが大きくバランスを崩して廊下の壁に激突してしまっていた。反動で床に叩きつけられそうになるのをラヴュールが支える。


"Jol cene niv ci彼女は出来ない ez tat ly."

"Jaああ, lecu miss俺らは…… adurt niss彼らを……へ tierije'l……しよう."


 レシェールは掬い上げるようにして翠の体を立たせた。睡眠薬と傷のせいで全く体に力が入らなかった。レシェールに支えられるシャリヤに続いて、ゆっくりと階段を降りて豪邸から出ようとする。だが、何か忘れているような気がしていた。


(残された使用人たちはどうなるんだろう)


 彼女らは恐らくビェールノイに利用されてきた人形に過ぎない。自分の意志でビェールノイの悪行を支えていたわけではないはずだ。それを主人が死んだまま放っておいても良いものなのだろうか。

 意識すると体が答えてくれた。いきなり立ち止まって、肩を貸していたレシェールは怪訝に翠の方を見た。レシェールから離れて、階段の手すりにもたれる。痛みのあまりに意識が吹っ飛びそうになりながら、息を大きく吸った。


「君たちは自由だ!ここに留まってちゃだめだ!自分の意志で、自分の生き方で生きていけ!」


 精一杯叫ぶも返答は何も帰ってこなかった。その代わりに帰ってきたのは貧血のような感触と体から力が抜けていく瞬間であった。見かねたレシェールに支えられた。後頭部に引きつるような気持ち悪さを覚えながら、レシェールになされるがままに豪邸の外へと連れて行かれたのであった。


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