#176 レータザルとフィアンシャ
シャリヤと共に町の地図看板を見つけ、その中から"
シャリヤは地図で自分がいる位置を確認するとすぐにフィアンシャの方向を理解して、そちらを指差した。あっちに向かうぞという意思表示らしい。肩を貸しているので翠が動かなければシャリヤも前へ進むことは出来ないからだ。
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シャリヤに肩を貸しながら、自分の頭の中は疑問に満たされていた。シャリヤの考えていることが完全にわからないということであった。イェスカやユミリアは人々を動かし、戦争まで行う大衆教会の主だ。二人共死んだとしても彼らに関わっているのであれば、飛んで火に入る夏の虫ということになりかねない。
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それを聞いたシャリヤは奇妙なことを聞いたような雰囲気で目を細めた。
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シャリヤは言い終わると自分にも言い聞かせるように頷いた。その動きと共に朝の陽の光が彼女の髪の銀色を撫でるように色づけていた。
彼女の言いたいことが何だったのか。"
文章の上では分かっても、その背景をしっかりと理解できていなかった。そもそも"fi'anxa"がリパラオネ教徒の教会であるところの「フィアンシャ」であるのに、何故自分は"lertasal"をわざわざ「教会」と訳したのだろうか。
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シャリヤが裾を引っ張ってくる。蒼い瞳が早くフィアンシャに行きたいということを強く伝えてきた。これ以上考えていても答えが出てくるわけでもない。ここはシャリヤと共にフィアンシャヘ向かって後は彼女に任せる形にしたほうが良いのかもしれない。
しばらく歩くと特徴のあるキノコ状の建物が見えてくる。レトラのそれと同じように真っ白に塗られていて街の灰色から隔絶されたような感じがしていた。レトラのフィアンシャと比べると少し小ぢんまりとしていたが、それにしても街にある他の建物とは全く違う雰囲気に圧倒されていた。入り口付近には花で作られた輪が掛けられており、それが俗世と神聖な場をビビットに隔てていた。
フィアンシャには人についていく他に行ったことは無かった。自分がリパラオネ教がどのような宗教なのかよく分かってなかったり、その理解の無さから問題を起こさないか心配だったからだ。だが、今回はシャリヤの背中に付いていくことすら叶わない。そんな緊張した状態で入っていくと何やら人影が近づいてくるのが視界の端に見えた。
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ゆったりとした白いワンピース、金色のアンクレット、トルコ石のような淡い青色の珠が連なったネックレス。見覚えがあると思ったら、フィシャ・レイユアフがフィアンシャで着ていた服装と同じであった。だが、髪の色も目の色も違っていた。銀髪蒼眼の女性は毅然とした態度で翠らの進行方向に立っていた。シャリヤと同じ血統の人種なのだろう。
あのときシャリヤはフィシャのことを"
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シャリヤが答える。困り顔で女性が行く先を塞いでいるのを見ていた。シャーツニアーと呼んでいるのをみるとやはり聖職者の事は"Xarzni'ar"と呼ぶらしい。
良く考えればそんな冷静な考察をしている場合ではなかった。このフィアンシャがイェスカの教会の関係者ならば、呼び止める理由も明白だ。シャリヤもそれに気付いて警戒している様子だった。
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