情景47【枕元のスマートフォン】

 休日、昼過ぎまで自室で寝転がっている。簡素なシングルベッドの上で、ベージュの薄い毛布を被りミノムシのようにくるまって、のほほんと過ごしていた。

 せっかくのオフの日だもの。てきぱき動くなんて私らしくもない。そんなことを思う程度には、休日の私はだらしない。


 先日、ふたりで夕食に出かけた男性から、枕元のスマートフォンにメッセージが届いた。枕元のこの子は、だらしない私に最適なコミュニケーションツール。

 彼からのメッセージを目でなぞる。

『たまたま近くに寄りました』

 そんなたまたまがあってたまるか。嬉しいけれども。

『今から、お茶しませんか』

 へぇ、今から。いいね。


 ——え、待って。今から?

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