情景92【天井にある黒い点】
疲れて帰ってきて、鞄を椅子の上に放る。シャワーを済ませ、ぼんやりと時計を見つめてから、仰向けに寝転がった。
天井って、そういえば白かったな。
疲れているのかな。わかっていたはずのことを思い直す。
天井の真ん中には、円の形をして平たいありふれた蛍光灯。それが我が家の退屈と停滞の象徴のように思えてしまうのも、きっと疲れているからだろう。元気な日にはあれが、安心と安定の傘に思えているはずだ。
ところで、蛍光灯のそばに黒いシミなんてあったかな。消さないと、管理会社にいちゃもんつけられたらヤだな。
あ、シミが動いた。
……動いた?
……。
あっ。
ちっちゃい蜘蛛か、あれ。
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