情景31【記憶のうるおい。学び舎のこと】

 ふとしたきっかけに里帰りしたとき、かつて通っていた小学校にやってきた。

 そこは今もあの頃と変わらず、子どもが行き交い、教師がその面倒を見ている。生徒の数が少し減ったらしいが、それでも賑わいの雰囲気は変わっていなかった。

 そこに漂う空気の感じが、たまらなく懐かしい。

 予鈴が鳴っていた。

 駐車場に車を止め、体育館を横切り、中庭を通って外来の扉を開く。受付を済ませて校舎に立ち入った。職員室寄りの棟とはいえ、授業中の校舎はとても静やかでいる。

 ——変わらないな。

 かつて、私が通っていた頃の小学校が、そこにはそのまま残っていた。

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