情景04【晴れゆく眼下の街】

 山登りの途中だった。

 夜明け前に目を覚まし、テントから這うようにのそのそと外にでる。

 ほどよく平らな岩を見かけて腰を下ろした。


 上を向くと、空はいて高い。天頂は薄紫うすむらさきがかっていた。

 うしろを見ると、山際やまきわの空が白んでいる。朝焼けの前の空が、中空に突出する山々を色づかせていた。

 前を見れば、朝靄あさもやに覆われたふもとの街の姿がある。


 やがて空が色づいていった。

 麓を覆っていた白い靄は、音もなく朝陽あさひに振り払われていく。

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