情景22【狭間の時間帯】

 私は手を休めた。

 ストーブからパチリと弾ける音が立つ。その上に置いたやかんからはポツポツと唸る音がひそやかにあがっていた。ふと窓の外を見やれば日が沈みかけている。音も無く差し込んでくるうっすら赤褐色がかった陽光が、窓際に佇む露西亜人形の瞳を一瞬妖しく輝かせた。


 窓から望める中空は水を混ぜたかの様で、白っぽく淡い色が広がっている。西の地平線沿いの空は、淡い白みに浸食する橙。それでも、天頂はまだ青く染まっていた。


 個人的に、最も好きな時間帯。

 静けさの中で感じ入る。ただいまこの空間は、朝でもなく、昼でもなく、夕方でもなく夜でもない。

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