情景23【休日の朝を思う】

 休みの日の朝は、とても静やかで空気も凪いでいる。

 アスファルトで舗装された住宅街の歩道を一歩踏み出すたびに、冷めた空気の中を横切り、町の空気に触れるのを感じた。都会から離れたベッドタウンの朝は、息をひそめたかのような静けさで、今という時を気ままに過ごしている。


 そこに暮らす人々はきっと今日も家の中で、昨日までの自分を労わるように、布団を被って寝息を立てているのだろう。


 空で一羽の鳥が風を切る。乾いた空気のなかで短く囀っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る