情景55【半ドン】

 我が子が通う小学校の登校日だった。

 早めに仕事の用事を終わらせて、帰途に向かう子どもたちを横切りながら、長女を迎えに行く。途中、たくさんの子どもたちとすれ違った。だれもが、その日の午後を気ままに過ごせるひとときを待ちきれないでいるのがわかる。

 口を大きく広げて笑顔を見せ、ランドセルを背負った子ども達は、颯爽と校外へ駆け抜けていった。鞄が軽そうだ。半ドンの日は、教科書もノートも少なくて済むのが良い。


 ——私にも、そんなころがあったかな。


 そういえば、私があの子たちくらいのころ、土曜はいつも半ドンだった。

 学校の授業を午前中に終わらせ、放課後の帰り道に友達と遊ぶ約束をする。家に帰ったら、いつも昼はラーメンか焼き飯だった。それにネギを山ほどかけて腹にかっこみ、颯爽と外へ遊びにいく。そして、遊ぶ。

 隣の家のあいつは、プールの習いごとをしてたっけ。

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