情景56【ひとりで過ごす昼時】

 台所でコーヒーを淹れなおし、湯を沸かして乾麺を茹で始めた。

 昼は簡単に済まそう。

 戸棚の奥にしまっていたはずの、ミートソースの缶を探す。ひとりきりの生活を続ける私にとって、台所に立つことは、生活での数少ない楽しみだ。だが、そんな生活を送っているからか、ひとり分の昼食のためにその腕を振るう気にはなれない。


 昼食を淡々と済ませて食器を洗う。電気ケトルに水をたっぷりと注いで、スイッチを入れた。ひとりだからか、喋ってないな。

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