情景72【薄く伸びる雲の筋】
お日さまを真上に頂くと、空はそこから広がっているように思える。
空気は透き通っていて、空はどこまでも高く伸びていた。
その空に、真白い一筋の雲が薄く伸びている。道を歩きながらぼんやりと見上げていて、それが気になった。
その筋を目で追っていくと、空を漂う人工物が目に入る。
どうやら飛行機雲らしい。
薄く伸びる筋は、それが通りがかったあとも、しばらくそこに残ったまま風に浚われるのを待っていた。
いつあそこを通ったのだろう。あそこを通ったときにはきっと、人と音とを引き連れて無機的に通り過ぎていたはずだった。
今は薄雲が頼りなく伸びている。
余韻だけがそこにあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます