情景15【空を見てから、頬をつく】

 俺とふたりでベンチに腰掛ける女の子。

 彼女は、さっきの俺が顔を上げてまた下ろす様をじっと眺めていたらしい。

 そうして俺をひとくさり眺め終えると、柔らかくほほえんだ。俺の顔を見て、ほほえんでくれた。

 ほっとして、俺も笑う。

 そして俺はいったい何を思ったのか。人差し指で彼女の頬をつんと突いた。それから、思考よりも言葉が先に出る。

「近くにいるな」

 すると彼女に、

「は?」

 と、言われた。


 だよな。

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