情景48【女子には支度があるから】
女子には支度の時間が必要。
ベッドでミノムシのように毛布をくるくると身にまといながら、そんなことを思う。
なぜって、単純なことで、そんなときにかぎって彼から、『今からお茶しませんか』なんてお誘いが来てしまったのだ。
手が止まる。
嬉しいけれども、待って。急だし。
嬉しくても、いきなりはムリ。今からは、ちょっとムリ。
せめて二時間後とかいかがかな。そんなことを思いながら、返信を打った。
——いま外出中で、夕方頃なら。
ベッドの上でそう返した。
『では、夕方に』
——はい。
ベッドの上でひとり、すっぴんの私は胸をなで下ろす。
嬉しい。嬉しいけれども、タイミングとか、あるじゃないですか。
今すぐ出てきてとか、ふざけないでほしい。
だって支度とかあるじゃない。
私、まゆ毛ないんだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます