情景78【記憶のうるおい。はじめての料理】
はじめて覚えた料理は、見様見真似で作った袋入のインスタントラーメンだった。
両親が共働きで、家に帰っても自分以外誰もいない時間がつづく。だから学校を終えたらそのまま習い事に行くか、勉強かゲームにかじりつくようになった。
母はいつも夜が深くなるころ、レジ袋に食材を詰め込んで帰ってくる。それからその日の夕食を作り始めて、やがて父が帰宅するのがいつもの流れだった。そうして家族で少し遅めの夕食に移っていく。それが食卓の「普通」だと思っていた。
だとすると、もちろん夕方頃にお腹が空く。
ひとの体は家庭の食卓事情など知ったことではないから、時間が経てばお腹は素直に空してしまう。
そんなとき、台所の引き出しに控えている袋麺と目が合ったんだ。
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